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STORY 14 ページ14

「誰もいねぇな」

「馬鹿、あんたどこ見てんだい。 そこに階段があるだろ」

 上からは知らない男の声の後に先ほどとびらを叩いた女の声も聞こえてくる。この二人がおそらくマシューの部下であるジョンとメアリーだろう。同じ人間の声なのにここまで印象が変わってしまうものなのか。

「ホプキンスさん、よくこんな森の奥に建ってる家見つけられましたね」

「代書人のトムが教えてくれた。クラウディア・ヒューイットを尾行してたら見るからに怪しい家を見つけた、とな。トムも『マーロンの母親は魔女だ』と言っていた」

 マーロンは思わず声をあげそうになった。あのトムが……? どうして、そんなことを。

「それより、金になりそうな物を探せ。ないならさっさと魔女を捕らえるぞ」

「おいおいホプキンスさん、ひょっとしてクラウディアとかいう女と因縁でもあるのか? 随分おっかない顔してるぞ。あ、元からか」

「黙れ」

 階段に近づいてくる声に不安を覚え、「ねえ、お母さん」と小声で言いかけたのを「静かに」と遮られる。

「マーロン、よく聞きな。お前は私の子供じゃない。『魔女に攫われた被害者』だ」

 彼女はそう言いながらマーロンの口に布を噛ませて後頭部で縛り、喋れなくすると奥の隅に立てかけてあった剣を手に取って抜く。

「だから安心しな。死ぬのはあんたの母親ではなく、ただの魔女なのだから」

「!?」

 待ってよ! 『死ぬ』ってどういうこと!? お母さん!!
 必死に叫ぶも言葉にならず、とうとう階段を下りてきたマシューたちに見つかってしまった。部屋の外では彼らの後をぞろぞろとついてきた野次馬を含む町の人々が武器を手に入り口を塞いでいる。

「マシュー・ホプキンス。人の家の扉を壊した挙句、勝手に踏み込むとは礼儀知らずにも程があるね」

 マシューは自分に向けられた刃先からクラウディアに視線を移すと急に狼狽し始めた。

「何で、そんな……私に断罪させるのか? 頼むクラウディア、嘘だと言ってくれ……お前が魔女なんて……!」

 苦しみに満ちた声で嘆き、マシューは片手で顔を覆う。だが、クラウディアが呆れたような表情でこちらを振り返った時、彼の口元が笑っていたのをマーロンは確かに見た。
 部屋の外にいる人々は肩を震わせて泣いている(ように見える)マシューに同情の視線を投げかけている。これが彼の狙いなのだろう。実際は笑いを堪えるのに必死で震えているだけなのだが。

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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます!はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです!マシュー、……あ、愛してる…って言いました……? (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます!好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:田無苑珠 | 作成日時:2017年5月5日 13時

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