STORY 12 ページ12
そこでクラウディアはふとマーロンを見ると複雑そうに笑った。
「今日、“魔女狩り将軍”のマシュー・ホプキンスが町に来た。今頃は無実の女性をいかにして魔女に仕立て上げようか考えているだろう。あんたが『夢で見たとおり』だよ」
「待って、え？ 僕も夢を……？」
「そう。私の力はあんたにも受け継がれてるんだ。あんたが私を追いかける夢を見た一方、私はあんたに追われる夢を見た。それなら最初から教えてしまったほうが良いと思ってね。でも、ここに連れて来たのはそれだけが理由じゃない」
彼女は一旦言葉を切り、続ける。
「あいつは犬や猫さえも“使い魔”として処刑する。今町に居ればあんたまで標的にされる恐れがある」
「そんな……でも、マシューは……」
「残念だけどね、マーロン。あいつはもうあんたと親しかった頃のマシューじゃないんだよ。金のためなら無実の女すらも平気で殺す。おそらくあんたのことも、殺しはしなくても酷いことされるのは目に見えてる。すっかり変わってしまった。人間、昨日までの善人が今日になったら悪人になってるものさ。何が原因かは知らない。ただ、一度タガが外れたら誰かが止めなきゃ終わらない。結論から言ってやる。マシュー・ホプキンスは少しずつ病に侵されて最終的に死ぬ。それでもあいつは最期まで一人だ。これからすることを考えれば当然の報いだろうが、本当に残念だよ。だって……」
クラウディアは視線をテーブルからマーロンへと移す。彼は両手で顔を覆い、肩を震わせて俯いていた。
あの人が人殺しになった。僕のことも殺す。あの人が近い内に病で死ぬ。僕のことなんか忘れたんだ。ねえ、何故変わってしまったの？ あんなにも好きだったのに。
「……あいつが病に侵されずに助かる可能性はある。くだらない狩りをやめることだ。見た夢から推測すると病にかかったのは殺された女の怨みだと思う。それに……もし仮に病にかからなくても今度はマシューが思いついたことがあいつ自身を滅ぼす。病で死ぬか、水責めで死ぬか。魔女狩りを続けていたらどちらか一つの道を辿る」
マーロンは涙を拭って顔を上げる。彼女はそんな彼が思わず腰を抜かしそうな一言を発する。
「まあ、そんな死に方をする前にいっそのこと殺すというのも手だ。銃で頭を撃てば苦しませずにあの世へ送れる。無実の人間を惨い目に合わせてきたあいつには生温いだろうがな」
さらりと言ってのけた彼女にマーロンは一気に涙が引っ込んだ。
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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (
レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます！はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです！マシュー、……あ、愛してる…って言いました……？ (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます！好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2017年5月5日 13時
