新人研修・座学 ページ9
深澤さんが扉を開ける。その瞬間、賑やかな話し声が聞こえてきた。この扉は防音仕様らしく、自分の鼓膜が久々の音に驚く。
「はい皆注目!急遽今から新入りちゃんを紹介します!」
「えー!新入りくるの!?どんな子?」
「佐久間うるさい。ふっか、拉致は犯罪だよ」
「ちゃんと同意の上だよ、阿部ちゃん。……多分」
「AHA!北斗はいつもクールだな〜!心配しなくたって、ふっかさんはそんなことしないよ〜」
「ちゃんと同意はしてもらいました。入ってきて」
深澤さんに促されて、室内に入る。そこには沢山の人が居た。皆こっちを見ていて少し恥ずかしい。深澤さんに言われて自分のデスクに戻っていく社員さんたちは皆かっこいい顔をしている。なにこれこの職場イケメンしか採用しない決まりでもあるの?……あれ、じゃあ僕はイケメン?なんか照れるな〜。
「ほら、早く自己紹介して」
僕が勝手に照れていると、深澤さんが話しかけてきた。一番奥の豪華な所長席に座った深澤さんは足を組んでこっちを見ている。結構長い時間黙ってたっぽい。
「えっと、村上真都ラウールです。ベネズエラとのハーフです。ラウールって呼んでください。よろしくおねがいします」
拍手されて少し照れくさい。てかここはホワイトなのかな?ホワイトだったらいいなぁ。
「とりあえずデスクがまだ無いから、応接室に居てもらうことになるけど、大丈夫?」
「大丈夫です」
「そっか。じゃあ早速新人研修をしようか。定時までまだ少しあるから。というわけでよろしく阿部ちゃん!」
「おい所長、お前がやれや。……って、ラウールなんで泣いてるの!?」
「いや…、定時で帰れるって聞いて……、嬉しくって…」
「何この子今までどんな生活送ってきたの……?」
「泣き顔かわいいな……保護したい」
「ふっかは通報されたいの?いつでも準備出来てるよ?」
「阿部さんそれだけはやめてください」
深澤さんと眼鏡を掛けた社員さん……阿部さんがそんな会話をしながら応接室に案内してくれた。まだ社員さんの名前がわからないのに新人研修するのは変な気もするが、まあいいか。
101人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カルカンサイト | 作成日時:2022年10月2日 2時