Urban Legends (ページ4)

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それから二日後、午後三時。僕は指定された喫茶店……『Folklore』の前に来ていた。

「ここ…かな？」

路地裏のその奥にひっそりとあったその店に入る。店員さんがとても良い声で迎えてくれるものだから、少しいい気分になった。

　お客さんは殆ど居なくて、目黒さんはすぐに見つかった。隣には知らない男の人が座っていた。多分この人が件の所長だろう。

「はじめまして。『なんでも屋 Folklore』所長の深澤です。この度はご依頼ありがとうございます」

「あれ、確かここの名前も……」

「実はこの喫茶店、事務所を兼ねてましてね。ほら、最近プライバシーが厳しいじゃないですか」

　そう言った所長さんは名刺を差し出したあと、隣の目黒さんに話しかける。

「めめが自分から依頼を持ち込むなんて成長したね〜。お母さん嬉しいわ〜」

「深澤さんに育てられた覚えなんて無いっすけど。というか、訪問は深澤さんの仕事でしょ」

「うーん辛辣。でもこの子、そこまで追い詰められてるとは思えないけどなぁ」

「……この人は置いておいて、この前にしてくれた話。もう一度してくれない？」

　目黒さんにそう言われて、また話し出す。ふたりとも前よりも真剣に聞いてくれた。話し終わると視界には涙ぐんでいる所長さんと引き気味の目黒さんがいた。

「なんでそんな泣いてるんすか……」

「だって、苦労したんだなって…！それにここに康二いたら大号泣だから！ヤバい奴を見るような目で見ないでよ！」

「康二と比べるのは違うと思います」

「酷い！ちょっと舘さんに慰めてもらってくるから、契約書の用意しといてね！あと担当はお前だから。自分が持ってきた依頼なんだから、責任は自分で取ってよ。
……それに、この子は死までは望んでないみたいだし」

　そう言うと、そのままバックヤードに入ってしまった。何なんだあの人……。注文したカフェオレを持ってきた店員さんはごめんね。いつものことだから。と僕に言って、バックヤードに消えた。ってことはこの店員さんがだてさんなのかな？あ。これ美味しい。