六日目 ページ21
六日目は京本さんと。依頼は未亡人。資産家の夫に毒を盛るのを家政婦さんが見ていたんだって。ドラマみたい。昨日何をしていたのか聞くと、対象の動きを制限していた、と言った。僕は勉強のために社員さんの怪異を検索しているが、昨日の動画は本当にビビった。フェイクのくせに。
「自業自得だよ。一応検索してはいけない言葉だからね、あれ」
「そうですけど、注意くらいしてくれてもいいじゃないですか」
「知ってれば樹だって注意くらいしたと思うけど」
そんな話をしていると、目的地の高級住宅街についた。一つ一つの家がとても大きい。外国のような町並みにウキウキしながら歩く。自分には縁が無い場所だと思っていたのに、まさか来れるとは。
「そういえば今回の依頼内容ってすごいですよね」
「うん。……まるで魔女みたいだよね」
よく判らなかったけど、とりあえず頷いておく。そうこうしていると一際大きい家の前に着いた。チャイムを押すと、家政婦さんが出てきた。よろしくおねがいしますと頭を下げる彼女に、京本さんは何かを手渡した。
「これを奥さんに渡してから外に出てください」
それだけ言うと、僕の手を引いて離れたところへ移動した。多分あれが京本さんの都市伝説なんだろう。
「京本さんは『アレ』についてご存知ですか？僕の担当になる都市伝説らしいんですけど」
「『アレ』？……あー、聞いたことあるかも。でも詳しくは知らないなぁ」
「そうですか……」
「研修終わったら会えるんだから、そんなしょぼんってしなくても良いのに。……でも、そういった話は阿部ちゃんに聞いたら？阿部ちゃんは何でも知ってるからね」
「はーい、あ、出てきた」
家政婦さんが一匹の猫を抱いて出てきた。大きな白猫だ。かわいい。彼女が家から充分離れたのを確認した京本さんが呟いた。
「魔女といえばこれだよね」
その時、中から出てきた女性が猫を引っ張った。
「やば、出てきちゃった。ショック軽減のためにすぐやらなくちゃならなかったのに」
その瞬間、家が燃え上がった。僕に向かって小さく謝った京本さんが思いっきり手を突き出した。女性が猫から手を離し、突き飛ばされるように火の中に消えた。もしかしたら、自分から飛び込んだのかも知れない。確かにこれはエグい。一体どういう仕組みなのか聞くと、一枚のカードを見せてくれた。
「今回使ったのはこれ。『グレーテルは魔女をかまどに閉じ込めてしまいました。』ってね」
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←五日目
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カルカンサイト | 作成日時：2022年10月2日 2時
