35話 ページ36
･
｢嘘なわけないだろ。｣と愛おしそうな愛の籠った瞳を向けながら私の頬を優しく撫でる。
彼の手から伝わる感覚が脳を痺れさせる。
『ほ、ほんと…？』
まだ目の前で起こる状況に信じられなくて聞き返すと、ははと笑われてしまう。
それでも私と彼の距離は数センチと届く範囲で甘くて苦い香り、整った顔、吐息、仕草、全部が心臓を煩くさせる。
すると、スローモーションで彼が動く。
気付いた時には、ドアップの彼の顔と。
唇に広がる甘い感覚。
目を開けたまま呆然とするしか無かった。
瞬きをすると彼の顔は離れていたが、唇に残った暖かい感触は離れていかない。
彼と触れた唇は熱を持ったように熱くなり、無意識に指先で撫でてしまう。
耳まで真っ赤にして唇を触る私を、また元いた胸へと引き寄せる。
そして、肩に顎を置いてこちらを向く。
耳元で吐く吐息が心を揺さぶる。
松｢愛してる。｣
｢だから、俺と結婚してくれ…。｣と掠れた声が鼓膜を揺らす。
『っ、…うんっ！』
松田くんの本心を聞いて溢れた想いは涙となって零れ落ちる。彼は笑いながら、親指の腹を使って目尻に溜まった涙を拭いとりながら語りかける。
松｢Aは、…俺の事好きか？｣
少しだけ不安そうに、だけど口角を上げて聞く彼。
だけど『好き』なんて言葉は口には出さなかった。
代わりに、
彼の薄い唇に、私の震える唇をゆっくりと合わせた。
影がひとつへと重なる。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 293人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「名探偵コナン」関連の作品
「生まれ変わったら阿笠博士の親戚であいつらの同期でした！」3
雨空に桜色の花びらを (5) 【名探偵コナン/警察学校組】
【名探偵コナン】無償の愛〜100万ドルの五稜星〜
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
來夢(プロフ) - ソラさん» ソラさんコメントありがとうございます。最後まで読んでいただき嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年6月9日 23時) (
レス) id: ea1fcd9833 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 面白かったです！一気によんじゃいました！ (2020年6月9日 23時) (レス) id: c9fab5ebf6 (このIDを非表示/違反報告)
來夢(プロフ) - 傘野さん» そうですね、ドラマの内容を知っている方からすると不快に感じますよね…。申し訳ございません。作品の説明文に追加しておきます。ご指摘ありがとうございます。 (2020年6月9日 17時) (レス) id: ea1fcd9833 (このIDを非表示/違反報告)
傘野(プロフ) - 一般人の私が言っているだけなので無視していただいても構いません。失礼いたします... (2020年6月9日 17時) (レス) id: 4ef6052052 (このIDを非表示/違反報告)
傘野(プロフ) - そうなんですね、でしたらその事を何処かに少し書いておいた方がいいと思います。タイトルには著作権はないですが中身は少し似ているので、ドラマを少し知っている人がいたら私のように不審がられると思うので... (2020年6月9日 17時) (レス) id: 4ef6052052 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：來夢
| 作成日時：2020年5月21日 10時
