16話 ページ17
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彼が動いた事で、ふわっと香りが私の鼻をくすぐった。
あれ、この匂い…。
『…、松田くんだったんだね。』
研二くんとは違う柔軟剤の匂いに、煙草の染み付いた苦い香り、それに私にはない男の人の匂い。
煙草の匂いなんて好きじゃなかったのに。
研二くんが吸ってたら吸いかけでも煙草を捨てさせたのに。
苦い匂いなんて嫌いだったのに。
肺をただ汚すだけのためのものなのに。
彼の匂いを嗅いでしまったら酷く安心してしまうのはなぜだろう。
私はなぜ彼の匂いでこんなにも口元が緩んでしまうのだろう。
目の前でいびきをかきながら大きな口を開けている彼が少し恨めしかった。
勝手に私の目の前に現れて、意味不明なことを言って。茶化してきたり、少年っぽいのに。いきなり雰囲気をかえて大人っぽく私の心を鷲掴みにするような笑みを見せたり。
私は彼のたったひとつの行動に、匂いにこんなにも心を乱されているのに、なんで貴方はこんな呑気に寝ているの…?
そんな意味もない疑問には誰も答えてくれない。
誰も答えてもくれない疑問に頭を抱えるなんて、馬鹿らしい。どこか他人行儀な自分が乾いた笑みを零す。
もう彼のことを考える思考を停止させ、手に持っていた私の体温がこもった少し生ぬるい毛布を松田くんに被せる。
彼からはまた私の心臓を痛くする匂いが空気を漂って鼻腔を刺激する。そんな匂いに嫌気がさす。
ばーか、なんて言葉を違う言葉にかえて、彼のジャケットを近くにあったハンガーにかけ机に散らかった残骸の後片付けへと足を進める。
『おやすみなさい。』
そんな音は誰にも拾われずに散っていく。
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來夢(プロフ) - ソラさん» ソラさんコメントありがとうございます。最後まで読んでいただき嬉しいです!ありがとうございます! (2020年6月9日 23時) (レス) id: ea1fcd9833 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 面白かったです!一気によんじゃいました! (2020年6月9日 23時) (レス) id: c9fab5ebf6 (このIDを非表示/違反報告)
來夢(プロフ) - 傘野さん» そうですね、ドラマの内容を知っている方からすると不快に感じますよね…。申し訳ございません。作品の説明文に追加しておきます。ご指摘ありがとうございます。 (2020年6月9日 17時) (レス) id: ea1fcd9833 (このIDを非表示/違反報告)
傘野(プロフ) - 一般人の私が言っているだけなので無視していただいても構いません。失礼いたします... (2020年6月9日 17時) (レス) id: 4ef6052052 (このIDを非表示/違反報告)
傘野(プロフ) - そうなんですね、でしたらその事を何処かに少し書いておいた方がいいと思います。タイトルには著作権はないですが中身は少し似ているので、ドラマを少し知っている人がいたら私のように不審がられると思うので... (2020年6月9日 17時) (レス) id: 4ef6052052 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:來夢 | 作成日時:2020年5月21日 10時