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「·····薬で抑えているとはいえ、やはり病状の悪化は免れませんね····。正直、今生きていること自体奇跡です。
いつ、寝たきりになっても不思議ではありません。」
一通りお館様の診察を終え、診断結果をお伝えする。
私は決して、診断結果を濁して伝えない。
例えそれが、どんなに残酷なものだったとしても。
嘘偽りなく、ありのままの事実を伝える。
私の父もそうだった。
そうしてしっかり患者と向き合っていた。
だから私も誤魔化さない。
「····あまり、無茶はなさりませんよう·····。」
「ありがとう、A。Aの協力があるから、私は少しでも長く生きられる。私はまだ、死ぬわけにはいかないからね。」
そう言って微笑むお館様。
起き上がるのも辛いはずなのに、その顔は微塵もそれを感じさせない。
いつも思う。
お館様は、言笑自若で、得難い人だと。
私はこれ程の人格者をこれまで見たことが無い。
お館様に、会うまでは。
「·····微力ではありますが、これからもお力添えさせていただきます。」
その後、薬を塗り、包帯を変え、飲み薬と服用上の注意を説明して私は産屋敷家を後にした。
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「あら、A。戻られたんですね。」
「しのぶ。」
蝶屋敷に着くと、ちょうどしのぶがどこかへ出かけようとしている所だった。
「任務?」
「ええ。緊急の任務です。
·····そういえば、貴方に手紙が来ていましたよ。まぁ、もうすぐ行われる最終選別についてだと思いますが。」
「あ〜、確認しておく。行ってらっしゃい。」
「はい。」
そう言ってしのぶは微笑むと、一瞬にしてどこかへ行ってしまった。
「可愛い顔しておっそろしいわぁ·····。」
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作者名:しゃも | 作成日時:2019年9月16日 10時