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いつかの、原作の全国決勝戦のようだった。
だけど今、神の子と戦っているのは越前リョーマではない。
氷帝学園テニス部部長、跡部景吾。
今は全国大会準決勝、氷帝vs立海戦。
S1の跡部景吾vs幸村精市の試合。
この戦いに勝ったほうが、決勝戦へ進む。
決勝戦では、先に勝利を決めた四天宝寺が待っている。
地に這いつくばるお兄さまの向かいのコートでは、息一つ切らせずに幸村さんが優雅に立っていた。
どうして、どうして――
こんなにも差がついているの？
立海は強かった。
でも、幸村さんほどの圧倒的な強さではなかった。
三強と呼ばれていた蓮二さんや真田さんすらも。
常勝することが理念である、立海レギュラーの真田さんが手を抜くはずがないのだから。
誰も、神の子幸村精市には勝てない――
脳裏にこびりつくのはその“真実”で。
『おにい、さま……っ』
もう、視覚がなくなったのだろうか？
すでに、触覚がなくなったのだろうか？
いつから、五感を奪われ始めたのだろうか？
『……っ』
どんな言葉もお兄さまの慰めにはならない。
同情などお兄さまは求めていない。
弱い私は、唇をかみしめてお兄さまを見続けることしかできない。
でも、次第にお兄さまをまともに見ることもできなくなって、視界が歪む。
にじむ世界の中で、ゆっくりとお兄さまは立ち上がった。
『……っ、おにいさまっ！』
幸村さんのサーブを迎え撃つために、ラケットを構える。
まだ、お兄さまは諦めていない。
それは希望の光になった。
――はずだった。
幸村さんの唇が、ゆっくりと弧を描く。
「――――」
幸村さんの口は動いたけれど、あまりにも遠すぎて音は聞こえなかった。
そこから先の展開を私は知らない。
護衛さんが私の目に手を当てながら、抱いて試合会場を去ったからだ。
『いや……っ、ごえいさん、Aは……まだ、』
手を伸ばしても、
「景吾さまからのご命令ですから。申し訳ございませんが、Aさまのお願いを聞くことはできません」
何も掴めない。
『でもっ……おにいさまの、そばに……』
「駄目です」
それが私の役目ではないのだとしても。
せめて、お兄さまの近くにいたかった。
最後まで見届けたかった。
この年。
決勝戦は、立海が圧倒的な力で四天宝寺をねじ伏せて優勝した。
氷帝学園は全国ベスト4という結果で幕を閉じた。
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かるぴん(プロフ) - 悠莉さん！お元気そうで良かったです！いえいえ謝ることは全くありません！！そしてしてまさかの更新！？すごくずこく嬉しいです。ありがとうごさいます！これからも楽しみにしています。無理ない範囲で頑張ってください！応援してます！ (2023年3月8日 3時) (
レス) @page33 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
悠莉(プロフ) - かるぴんさん» お久し振りです…！前回のコメントより更新できず、すみません…更新が止まっている間も何回もお読みいただきありがとうございます…！続きも楽しみにしていただき、感謝してもしきれません…！少しだけですが更新しますので、もう少しだけお待ちください…！ (2023年3月5日 23時) (レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 悠莉さんお久しぶりです。お元気ですか？またまたこの作品を読み返していました。何回読んでも面白くて読む手が止まりません(笑)この作品と悠莉さんの大ファンです！続きがありましたら是非読みたいです！ (2023年2月15日 15時) (レス) @page32 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 悠莉さんお元気そうで安心しました😌お忙しい中返信していただきありがとうございます！いつまでも楽しみに待ってます🙋♀️これからもお体に気をつけてお過ごしください☺️ (2022年5月19日 3時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
悠莉(プロフ) - かるぴんさん» 返信が遅くなり、すみません🙏かるぴんさんお久しぶりです…！続きを楽しみに待っていただきありがとうございます…！気が付けば1年以上お待たせしていますね…私生活に慣れて落ち着いたらまた書き始めたいと思うので、今しばらく待っていただけると嬉しいです…！ (2022年5月18日 21時) (レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2020年10月5日 20時
