□日吉若side(5) ページ36
「すみません、坊っちゃん。私は少し外に出ますが、こちらでお待ちくださいね。……すみませんが、後はよろしくお願いします」
そう言い終わると同時に、伊藤さんはリムジンの外に飛び出した。
俺とあいつの護衛が口を挟む間もなかった。
俺と護衛は思わず顔を見合わせる。
「あなたはここでお待ちください」
「俺も行きます！」
声が重なった。
護衛は静かに首を横に振る。
ここで押し問答をしている場合ではないことは、俺も分かっていた。
安全を考えれば、俺はリムジンに残るべきだろう。
俺が行ったところで何もできない。
理性では分かっている。
だが、本能はあいつの近くに行きたいと叫んでいた。
それに何よりも、俺には行かなければならない理由がある。
「……伊藤さん、音が聞こえる方向とは別の方向に向かいました」
「それは……」
護衛は絶句したが、俺が言うまで気が付かなかったのであれば、やはり車は遠い、大人が聞こえにくい場所にいるのだろうか。
「エンジン音は、あっちから聞こえています」
家とは反対方向の山奥を指差す。
奥には車が通れそうな道があるとは思えず、だからこそ気のせいかもしれないと思ったのだ。
それでも、万が一のことがある。
そのまま護衛と一緒にリムジンから出ると、ちょうど戻ってきた伊藤さんと鉢合わせた。
同じように説明すると、伊藤さんも無線で同じことを伝える。
それから、音が聞こえる方へと急ぐ俺の後ろを二人は付いてきた。
どんどんと山奥へと入っていく。
早く、あいつを助けなければ。
もっと速く走りたいのに、道なき道では歩くことで精一杯だ。
俺の足ではいつまでもたどり着けないかと思ったが——
「こっちです！ 見つけました！！！」
木々に紛れて進んでいくと、ひらけた場所に今にも出発しそうなワゴン車が止まっていた。
車は急ブレーキで止まる。
近くには車一台だけが通れそうな、舗装されていない道があった。
二人は俺の前に立つ。
俺は、大声を出したことが間違いだったと気が付いた。
まだ、あいつを助けるための人が足りない。
「……すみません」
「いえ、坊っちゃんが叫ばなければ、あいつらは逃げ出していたでしょうから」
「えぇ。ですが、二人だけでは……」
「もうすぐ、こちらに応援が来ます。それまで時間を稼げれば……」
そうこう言っている間に、窓が開き、Aの顔が出される。
あいつの居場所が分かったことだけでも喜ぶべきか。
だが、あいつの首にナイフが突きつけられているのが目に入った瞬間、俺は叫びを抑えられなかった。
「Aっ！」
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かるぴん(プロフ) - 悠莉さん！お元気そうで良かったです！いえいえ謝ることは全くありません！！そしてしてまさかの更新！？すごくずこく嬉しいです。ありがとうごさいます！これからも楽しみにしています。無理ない範囲で頑張ってください！応援してます！ (2023年3月8日 3時) (
レス) @page33 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
悠莉(プロフ) - かるぴんさん» お久し振りです…！前回のコメントより更新できず、すみません…更新が止まっている間も何回もお読みいただきありがとうございます…！続きも楽しみにしていただき、感謝してもしきれません…！少しだけですが更新しますので、もう少しだけお待ちください…！ (2023年3月5日 23時) (レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 悠莉さんお久しぶりです。お元気ですか？またまたこの作品を読み返していました。何回読んでも面白くて読む手が止まりません(笑)この作品と悠莉さんの大ファンです！続きがありましたら是非読みたいです！ (2023年2月15日 15時) (レス) @page32 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 悠莉さんお元気そうで安心しました😌お忙しい中返信していただきありがとうございます！いつまでも楽しみに待ってます🙋♀️これからもお体に気をつけてお過ごしください☺️ (2022年5月19日 3時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
悠莉(プロフ) - かるぴんさん» 返信が遅くなり、すみません🙏かるぴんさんお久しぶりです…！続きを楽しみに待っていただきありがとうございます…！気が付けば1年以上お待たせしていますね…私生活に慣れて落ち着いたらまた書き始めたいと思うので、今しばらく待っていただけると嬉しいです…！ (2022年5月18日 21時) (レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠莉 | 作成日時：2020年10月5日 20時
