□(16) ページ8
忍足さんのからかいに我慢の限界を超えたのか、若くんは机にダンッと力強く手を付け、立ち上がる。
「さっきからなんなんですか、あんた!」
『わー! おひるごはんだよ! きょうはなにかな!?』
若くんの分が悪いことは火を見るよりも明らかだ。
歳の差は絶対である。
話を逸らすために、先生がちょうど私たちの机の横に押してきた配膳コンテナを指差した。
のんきな私の発言に気が抜けたのか、若くんはゆるゆると席に戻る。
ため息を吐いているのは気のせいではないだろう。
若くんに呆れられた……。
煽った忍足さんに至ってはクスクスと楽しそうに笑っていらっしゃる。
そして忍足さんは先生のお手伝いをするために、席から離れた。
一触即発の場を収めたというのになんたる仕打ち。
私もわざわざ2人を険悪な関係にしたいわけではない。
私が忍足さんとお話するだけでも若くんは嫌なようだ。
……そういうところはお兄さまも若くんも一緒なのよね。
忍足さんの何がそんなに警戒される理由なんでしょうね。
そんなに悪い人だとは思わないけれど。
どうすれば若くんは忍足さんを敵視しなくなるんだろう? と考えている間に、先生と忍足さんはクラスみんなに今日の給食が乗ったおぼんを配り終えたようだ。
……いつも先生が1人で配膳しているんですよね、大変だ。
手を合わせて「いただきます」とみんなで声も合わせて、食べ始める。
今日のおかずはちょっと豪華で、チーズinハンバーグだ。
トロトロにとろけたチーズが美味しい。
だけど他のテーブルはにぎやかだというのに、私たちのテーブルにはほんの少しだけ重たい空気が漂っていた。
そもそもの話、私たちのグループは基本的に他者を受け入れない。
いざ、他の子と関わってもあまり良い思い出がなかったからね。
そして、クラスメイトの大半が家族から「あの子たちにはまだ関わるな」と言い聞かせられているであろうことも拍車をかけている。
そのおかげでさらに私たちは結束してしまった。
悪くはない。
悪くはないのだが、いかんせん感じが悪い。
その点、お兄さまは上手く生きていたのよね。
お兄さま自身は周囲のほぼ全ての人たちを信頼していなかったにも関わらず、カリスマ性で人が途切れることがなかった。
目指すはお兄さま! だけど、一朝一夕ではあの地位を手に入れられないことは知っている。
だから昔から友だち作りを頑張っていたんだけど……そう上手くはいかなかった。
幼稚舎に期待しよう。
139人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠莉(プロフ) - I like choco さん» 休んでいた間に書き溜めていたおかげです(笑)ですが、お話のストックも尽きてしまったため続編はお待たせしてしまいます…無理はしませんが、ご心配ありがとうございます! (2020年9月30日 22時) (レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
I like choco - 更新早いのすごい嬉しいです!ただ、無理はしないでくださいね! (2020年9月30日 21時) (レス) id: 21ebe68129 (このIDを非表示/違反報告)
美麗 - 更新ありがとう。ちょっと遅くなってごめんなさい。拝見しました面白いかったよ。 (2020年9月4日 0時) (レス) id: da294cd674 (このIDを非表示/違反報告)
美麗 - 返事有難うございます。まぁ見えないのはありますが どことなく分かりますので大丈夫です。テニプリは大好きです。最も好きなのは青学 氷帝 立海 四天宝寺 六角かな何かさテニスの王子様ってさ夢見る乙女感じだよねぇ。ずっと応援しています頑張って下さいねぇ。 (2020年9月3日 20時) (レス) id: da294cd674 (このIDを非表示/違反報告)
悠莉(プロフ) - 美麗さん» ゲーム機からだとページの読み込みとか大変ですよね…それでも私の作品も選んでいただけてとても嬉しいです♪応援もありがとうございます!更新頑張りますね! (2020年9月3日 20時) (レス) id: 5c790ea34a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:悠莉 | 作成日時:2020年5月16日 0時