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あれからどのくらい経ったんだろう。
気付けばそのまま寝ていたみたいで、目を開けると真っ暗で狭い空間に少し焦った。
外の音を聞き澄ますと、微かに聞こえる菊さんの声。
あ、帰ってきたんだ。てか無事だったんだ。
心の底からホッとしてゆっくりと隠れていた場所から出ることにした。
私が隠れていたのは、押し入れの中にある床下収納。
いつもは敷布団などで見えないそれを見つけたのはつい最近。
中は案外新しくて綺麗で、この中に何を入れようか、なんて思いながらもそのままにしていたのを思い出したのだ。
押し入れを少し開けて外を覗く。
いつも通りの自分の部屋は特に荒らされた様子もなく、少し安心した。
「だから事前に連絡はしていたでしょう!?」
菊さんの突然の声にびっくりして押し入れの奥に引っ込む。
それと同時に足音が近付いてくるのに気付いて再び縮こまって息を潜めた。
またあの男か?
菊さんと知り合いなの?
いやだ、怖い。
大きくなってくる音に耳を塞いで目を閉じる。
また大きくなる心臓の音に泣きそうになりながらピンをぎゅっと握りしめた。
「……Aさん、もう大丈夫ですよ。」
いつもの優しい菊さんの声。
そっと目を開けると、押し入れの中をのぞき込む菊さんの姿が見えた。
スーツは少し乱れていて、いつも綺麗なサラサラの髪の毛が所々跳ねている。
眉を下げて優しく笑う菊さんの顔を見ると、今まで我慢していた気持ちが溢れ出てきて、たまらず涙が溢れた。
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金なし大学生(プロフ) - ポチの飼い主さん» コメントありがとうございます!後々祖国以外のキャラクターも出てくる予定なので誰が出てくるか楽しみに最後までお付き合い下さい! (4月3日 14時) (レス) id: e75eea13ca (このIDを非表示/違反報告)
ポチの飼い主 - 最近ヘタリア熱再発したんですけどこの作品見つけることが出来てよかったです。面白くなりそうな予感がします!ぜひ頑張ってください!!更新待ってます! (3月29日 19時) (レス) @page8 id: 064c9c6d48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:金なし大学生 | 作成日時:2024年3月29日 18時