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「でも今までちょっかいかけられることはあったけど、食べられそうになったことなんてなかったよ?」
《それはきっとこれのおかげだろうね》
ハクは私が首にかけているネックレスのチェーンの部分に触れた。
これは小さい頃。まだ両親がいた頃に出会った男性に貰ったのだ。
ずっと昔のことだから顔も覚えてないけど、
『これはお前をあいつらから守ってくれる。俺が心を込めて魔法をかけたんだ。何があっても外すんじゃねーぞ?』
そう言って頭を撫でてくれた男性。
……そういえば、彼も私と同じ緑色の瞳だった気がする。
《これ、ヒスイって言って魔除けの石なんだ。このおかげで妖怪からAは守られてきたんだろうね》
初めて知ったこの石の力。
あの緑色の瞳の男性と同じ色の石に触れると、なんだか暖かい気持ちになった。
「……?でもなんで今日はその力が無くなってるの?」
うじゃうじゃいる妖怪たちは、遠巻きに私たちのことを見つめている。
大勢の視線が集まって歩きにくい。
来た道を戻ろうにも、少し振り返ると道を塞ぐように集まる妖怪のせいで前に進むしかない。
今までこんなこと無かったから、ぽちくんを抱き上げて歩き進める。
《Aの怪我のせいだよ。血が出てるAからはいつもの何倍もの匂いが溢れてるんだ。その石のカモフラージュも効かないくらいね。》
フェロモンムンムン中ってことだよ!
と笑うハク。笑い事じゃないでしょ。
つまり今、私は敵の陣地に宝を両手に抱えながら丸腰でやって来ているおバカさんだということだ。
「……やばいじゃん。」
《襲われることは無い…と思うよ?日本さんの匂いと気配が染み付いたぽちくんがいるからね。》
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金なし大学生(プロフ) - ポチの飼い主さん» コメントありがとうございます!後々祖国以外のキャラクターも出てくる予定なので誰が出てくるか楽しみに最後までお付き合い下さい! (4月3日 14時) (レス) id: e75eea13ca (このIDを非表示/違反報告)
ポチの飼い主 - 最近ヘタリア熱再発したんですけどこの作品見つけることが出来てよかったです。面白くなりそうな予感がします!ぜひ頑張ってください!!更新待ってます! (3月29日 19時) (レス) @page8 id: 064c9c6d48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:金なし大学生 | 作成日時:2024年3月29日 18時