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壱馬side
それからというものの俺はずっとあの子が気になってしょうがなかった
また会える日は来るのだろうか。
話すことが出来るのだろうか。
どのような人なのだろうか。
あの子の全てが知りたい。
そんな思いを胸に今日も会社へ向かった。
今日はボイトレの日。
ずっと頭の中にあの子がいてレッスンに集中出来なかった。
陸「壱馬、今日調子悪いね、なんかあった?」
壱「あ、いえ、何も無いです!
すみません、ちゃんと集中します」
北「壱馬大丈夫?なんか変じゃない?」
壱「あぁ、ちょっと集中出来てないかも、
ごめんな、迷惑かけて」
先「壱馬、今日どうしたんだ〜?全然声出てないよ〜」
壱「っ、すみません!」
片時も頭から離れず、陸さんと北人、さらには先生にまで注意されてしまった。
はぁ、このままじゃだめだ。
そうは思っていてもどうしても消えない。
今日も、あの公園へ行ってみよう。
仕事も終わり、少しトレーニングして昨日と同じ時間帯に昨日と同じ道を通って家に帰る。
どうか、どうかいますように。
.
.
.
壱「あ、」
俺の目線の先にはあの子が立っていた。
今度こそちゃんと話しかけよう。
そう思って1歩踏み出した、
その時だった。
フッ
彼女が微かに笑った。
何を見て何を思って笑ったのかは分からない。
けど、その姿があまりにも美しくて言葉を失ってしまった。
俺なんかがこの子に近づいていいのだろうか。
この美しい光景を壊してもいいのだろうか。
そう疑問に思ったら勇気をだして踏み出した1歩が何だかすごく恐ろしく思えた。
.
.
ダメだダメだ落ち着け俺。
このままじゃきっと後悔する。
また会える保証はない。
なら今、声をかけておくべきだ。
俺はさっきよりも重たく勇気のいる1歩を踏み出した。
そして、
壱「こんにちは。」
そう声をかけた。
もう戻れない。
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作者名:Bliss of time | 作者ホームページ:http://uranai time
作成日時:2018年10月3日 2時