〇9 ページ9
.
あれから数十分ほど時間が経った。
ハイキングは大昇くんのおかげであっという間に感じた。
何気ない会話の中に、
不意に笑顔になるようなリアクションを返してくれる。
私が質問をすると、
返事と一緒に豆知識まで教えてくれて、
楽しいキャッチボールが永遠に続くみたいだった。
また、
大昇くんも龍我と変わらないくらいの身長なのに、
私の小さな歩幅を気にせず歩いてくれている。
“ごめんね、合わせてもらって”と伝えると、
“俺も無意識に歩いてた”って
またクシャッとした顔で答えてくれた。
そんな感じに過ごしていると、
山頂もあともうちょっとだった。
「Aちゃんー！こっちこっち！」
すると、山頂に近いヒナちゃんが
私に振り返って、またもや名前を呼ぶ。
すごく楽しそうに手をブンブン振る姿。
私は今度こそ、それに応えたくなった。
もう体は重く感じないから。
『よーしっ！ヒナちゃん待っててー！』
山の斜面を軽快なリズムで登っていく。
龍我までもを追い抜き、
ヒナちゃんのところまで駆け上がる。
「『着いたー！』」
2人で一緒に山頂にたどり着けば、
ハァハァと出る息を整えると、
視線を合わせて思わず声に出して笑った。
「山を走るなんて子どもみたい笑」
『でも、めちゃくちゃ楽しいね笑』
子ども心を擽られたようで、
楽しく登った山頂からの景色はとても綺麗だった。
「龍我ー！大昇ー！早く早く！」
今度はまだたどり着いてない2人を急かすように呼ぶ。
2人は仕方ないなぁなんて顔をしながら
長い脚を更に歩幅を広くして
早歩きで駆けつけてくれた。
「2人とも早すぎるって！笑」
笑顔ながらも文句を投げかける龍我と
息を切らしながら落ち着かせる大昇くん。
その様子を見て、
またヒナちゃんと二人で見つめ合いながら笑った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 130人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさぎ(プロフ) - 初めまして！小説の雰囲気が素敵です。久々に美少年の作品を探してたので良い作品に巡り逢えた気がします！これからも応援してます！自分も美少年の作品を書いてるので参考にさせていただきます。 (2022年11月3日 19時) (
レス) @page6 id: 80a86bf48f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ホワイトチョコ | 作成日時：2022年10月17日 23時
