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「龍我！ちょっと待って！」
「ヒナ遅せぇよ！早く来いよー！」
時は既に、林間学校当日。
今はグループに別れて自然の中をハイキングしている。
私が登ろうとする視線の先に、
龍我とヒナちゃんが楽しそうに歩く姿が映る。
2人は山の斜面でも平気なように進んでいて、
今の私には背負ってる荷物以上に体が重くて無理だった。
「Aちゃんー！ほらこっちこっち！」
そんな事も気にしてられず、
私の見上げた視線の先には、
ヒナちゃんがニコッとした可愛い顔で、
手を振りながら名前を呼ぶ。
どうやら、この姿を前にも見たような気がした。
それは、初めて龍我と一緒に帰ったあの日だ。
後ろから私を呼び止める龍我の姿にそっくりだった。
きっと、2人はもう友達以上の関係を持っているはず。
“お似合い”という言葉があまりにも当てはまる。
…そう思った自分はきっと馬鹿なんだろう。
後に絶対傷付いて後悔するはずなのに。
「龍我も八代もお前ら早ぇんだって笑」
私がヒナちゃんに返事をしようとしたタイミングで
何処から現れたのか、大昇くんが代わりに返事をした。
驚いて隣へ視線を向けると、
“あいつら早ぇよな”と言いながら
クシャッとした顔で笑った。
『大昇くんいつも急だからびっくりしちゃうよ笑』
「それはまじごめんだわ笑、タイミング分かんなくて」
しかもいつも後ろから現れるし…って
聞こえないくらいの小さな声でボソッと言った。
大昇くんと数秒話していると、
前方にいる2人はもう世界に入っていて、
完全にグループ内で2つに別れたようになった。
「あー、また龍我見てんの？」
大昇くんに声をかけられて見つめていた事に気付いた。
それ程2人で歩くことが羨ましいと思ってしまったのか、
帰り道だったら、隣は私なのにと考えていたのか、
私はどうにも龍我が好きで堪らないようだった。
『んーん、楽しそうな2人を見てたら私まで楽しいなって』
それでも、大昇くんには本当の事を告げない。
中学から大昇くんと2人はずっと一緒にいたのだから、
きっと、私よりもヒナちゃんの味方をするに違いない。
“身を引いて欲しい”なんて理解出来ているからこそ
声に出して聞きたくないから。
「……そう。Aちゃんは山登り好き？」
私の返事に、大昇くんは少し不思議そうにしつつも
新しい話題提供を振ってくれた。
『ん〜、好きだよ多分？笑』
「変な答え方だね笑」
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うさぎ(プロフ) - 初めまして！小説の雰囲気が素敵です。久々に美少年の作品を探してたので良い作品に巡り逢えた気がします！これからも応援してます！自分も美少年の作品を書いてるので参考にさせていただきます。 (2022年11月3日 19時) (
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作者名：ホワイトチョコ | 作成日時：2022年10月17日 23時
