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カランコロンと下駄の音を立たせながら歩く。
その振動でヒラヒラと揺れる髪飾り。
風に吹かれて運ばれた海の潮の匂いが鼻にツンとした。
波の音も聞こえてきて、花火大会の会場が近い事がわかった。
会場入口へと近づくと、
「Aちゃーん！おーい！」
ヒナちゃんが浴衣の袖をヒラヒラと揺らしながら
笑顔で私に手を振る。
その後ろには、龍我と大昇くんも既に合流していた。
『ごめんね！遅れて』
「まだ集合時間の10分前だから大丈夫だよ！」
ヒナちゃんだけじゃなく、順番に謝っていると、
『あれ、大昇くんも浴衣なんだ？』
「うん、やっぱり着てこようかなって」
大昇くんが浴衣を着ているのが目に入って驚いた。
前日に私服で行くって聞いてたから、まさかのこと。
大昇くんの制服姿しか見た事なかったから
ちょっぴり新鮮味を感じた。
私服を見れるのかと思ったら突然の浴衣で、
白い陶器肌に淡い紺色が映えて素敵。
その姿に暫くは見惚れていたのかもしれない。
イケメンとかカッコイイとかそんな言葉で表せない程、
美しく感じたから。
私が時間をかけてした着付けやヘアアレンジよりも
遥かに浴衣が似合っていて、
目が離せない…かもしれない。
「じゃあ会場入ろ〜！」
そんなタイミングで、ヒナちゃんの声が耳に入った。
ハッと我に返って、みんなの後ろを着いていく。
私……今、何考えてたんだろ。
会場は赤い提灯が奥の方まで連なって、
揚げ物や鉄板のジューッとなる音がお腹を空かせてきた。
このワイワイした加減が、
花火大会本来の楽しさを蘇らせてくれた。
よし楽しむぞっと意気込んで
会場に足を踏み入れると、
「Aちゃん」
大昇くんが後ろから名前を呼んだ。
その瞬間、さっきまで聞こえていた音は静かになって、
都合の良い空間に入った。
呼ばれた通り振り返ると、
真っ直ぐな瞳で私を見つめていた。
「可愛いよ、浴衣…似合ってる」
え……？
私は、その澄んだ瞳から目を逸らすことが出来ない。
まるで時が止まったみたいに……、
胸の中心をドンッと打たれたような感覚に陥った。
「じゃあ行こっか」
もう一度、大昇くんの口から言葉が放つと、
会場の音がうるさい程聞こえるようになった。
さっきのは……。
今日の私はいつもよりなんか変だ。
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続く (更新停止中)
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うさぎ(プロフ) - 初めまして！小説の雰囲気が素敵です。久々に美少年の作品を探してたので良い作品に巡り逢えた気がします！これからも応援してます！自分も美少年の作品を書いてるので参考にさせていただきます。 (2022年11月3日 19時) (
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作者名：ホワイトチョコ | 作成日時：2022年10月17日 23時
