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“せっかくのお召し物なんだから、髪も留めていきなさい”
お母さんは綺麗な髪飾りを私に着けるとニコッと微笑んだ。
今、目の前の姿見に映るのは、浴衣をまとった私。
藤の花が際立つような深緑の色。
唇はいつもより赤くて、髪も綺麗にまとめられている。
「ほら、やっぱりこの飾り付けた方が可愛いでしょ」
『別に良かったのに、、』
「可愛くなったのだもの、文句は受け付けないわよ」
私よりもウキウキするお母さん。
その一方で、深いため息を吐く私。
そう……。
今日は遂に来てしまった花火大会の日である。
何故こんなにも楽しみで無いのかというと、
主人公がいて、私はサポート係だからだ。
言い方を悪くしてしまうと、
“ヒナちゃんのための花火大会”というものだろうか。
協力をすると言ったのは私だから自業自得なものの、
そんなモブ的存在の私が、
浴衣を着てお洒落をする必要は無かったのではと思う。
ヒナちゃんに“どうしても一緒に着たい”と
可愛らしいオネダリ顔で言われ、着ることになった。
準備が終わり、時計を見ると、
集合時間が近づいている。
『お母さん、そろそろ行ってくるね』
「うん、行ってらっしゃい……あっA」
『んー？』
「…浴衣姿、とても綺麗だからね」
『…………うん、ありがとう。』
何やら心配そうな表情を見せる母に
優しく微笑み返して家を出た。
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うさぎ(プロフ) - 初めまして！小説の雰囲気が素敵です。久々に美少年の作品を探してたので良い作品に巡り逢えた気がします！これからも応援してます！自分も美少年の作品を書いてるので参考にさせていただきます。 (2022年11月3日 19時) (
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作者名：ホワイトチョコ | 作成日時：2022年10月17日 23時
