〇13 ページ48
.
……はっ…はぁはぁはぁ。
息が出来ずようやく空気を吸った。
激しく揺れる瞳孔、乱れる浅い呼吸。
そして、
気づけば、
自室へ戻ってきていた。
数秒前、俺の目に映ったのは……
この世で1番見たくもない残酷な光景だった。
思考が停止する。
声も発せられない。
目の前で……Aが……?
は……?夢だよな?
こんなの夢だよな!?
強制的に未来に返されてしまい、
その後のAがどうなったのかも分からない。
大昇「くそ…!!」
夢にしてはあまりにもリアル過ぎた。
それを頭のどこかで認めているからこそ、心に突き刺さる。
Aを助ける事が出来なかった…?
……。
おかしいんだ。
1つおかしい点があった。
一年前の事故の原因は、
“飲酒運転による確認不足”
Aが横断歩道を渡っている時に衝突してしまった。
だけど……
さっきのは、子どもをかばって……だった。
過去の内容が変わっている。
それから、Aを助けられないと
強制的に未来へ返されてしまう。
目の前に広がるいつもの自室の光景。
そんな中、机の引き出しから
紙の端角がはみ出ているのが目に入った。
気になった俺は、その角から紙を引っ張り出した。
大昇「……」
引き出しに挟まっていたのは新聞の記事。
その内容は、Aの事故についてだった。
大昇「高校3年生、子どもを救出……」
今までに見た事のない記事。
先程の出来事がそのまま写し出されていた。
大昇「過去が変わると…未来も変わる?」
……なバカな。
Aの命は変わらなかったじゃないか。
俺は全身の力が抜けたようにベッドに沈み込み、
新聞の記事をまとめて投げ捨てた。
そのまま目を閉じ
何故か冷静に眠りについた。
.
148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「美少年」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ホワイトチョコ | 作成日時:2022年6月20日 21時