もしもこの恋が出来たなら2 (ページ44)

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___きっかけは簡単だった。

夏休みが終わり新学期が始まる頃。

先生「お前ら、順番にくじを引いてけよー」

恒例の席替えタイムが行われた。

出席番号順に箱からくじを引いて着席していく。

岩﨑の苗字の俺はくじを引く順番が2番目であった。

まだたくさん候補のある箱の中に手を入れて、紙を出すと

“５番”

窓側の一番後ろの席が当たった。

大昇「めっちゃ神席じゃん笑」

早速荷物を持って、その席に移動した。

残りのクラスメイトがくじを引き終わるまで

机にうつ伏せて時間を持て余していると

トントンと、優しく肩を叩かれた。

起き上がって振り返ってみると

『あ…起こしちゃってごめんね』

大昇「……？」

『引き出しに忘れ物しちゃって、取ってもいい？』

急に声をかけてきたのはAさんだった。

前々から可愛くて優しいと評判の良い子らしいけど

俺は1度も話したことがない人。

それより

忘れ物を取りに来たってことは

元々Aさんが使ってた場所……。

大昇「……あ！ごめん！机にうつ伏せたりして」

まるで、俺が好んでした行動、

変態みたいかもという発想がよぎってしまった。

だけど、そんな言葉にAさんは戸惑って

『え？謝らないでいいよ…？忘れ物しちゃった私が悪いから』

大昇「え？」

『寝てた…よね？その邪魔しちゃってごめんなさい』

俺は、誤解を解こうと謝ったのに

そんな事も気にせず、さらに謝られてしまうはめに。

『あ、あったあった〜』

引き出しに手を突っ込んで

お目当ての探し物は見つかったみたい。

机から取り出したのは、

カメラのフィルムだった。

大昇「……フィルム？」

『あ！そうそう、フィルム！』

無意識に出た声に、Aさんは呼応した。

今どき、スマホとかで簡単に綺麗に写真を撮れる中、

アナログで写真を撮る人がいるなんて驚きだった。

『あ、いま“今どきフィルム？”って思ったでしょ！』

大昇「あ、え…、思ってないよ？」

『ふふ笑笑、嘘つくの下手だね笑』

……笑った。

目を細めて、優しく笑う姿。

初対面の俺との自然的な会話。

一瞬で懐に、気持ちよく入ってくる。

『……どうかした？笑』

そんな君に虜になってしまった。

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