龍我 ページ19
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「残念だがな、龍我、お前は今日から部活じゃなくて補習だ」
龍我「ど、ど、どういう事ですか!」
体育館に入ってすぐ、俺だけ顧問に止められた。
「先週の期末テスト……学年最下位だぞ?」
龍我「そんなの、知ってますよ」
「知ってるんだったら尚更補習して来い、わかったか?」
龍我「何でですか!」
腕を前で組んで、強ばった顔で俺に言い聞かせる。
顧問にいくら反抗しても、“補習へ行け”の一言。
ったくもう、今日は新しいバッシュ持ってきたっていうのに。
俺は、どうしても出来ない部活を引き返して、
仕方なく補習のクラスに向かった。
体育館から校舎へ歩いている途中、
“あれ、龍我くん、部活は?”
“髪、ポンパドールしてるの可愛いね!”
まだ校舎に残っている先輩の女子から声をかけられた。
龍我「前髪可愛いでしょ」
返事とともにキラキラな笑顔を返す。
それだけで、“キャー!”って声が響きわたった。
はいはい、いつもの事ね。
まぁそりゃそう。
俺って世界一カッコイイから!
龍我「じゃっ」
いい気分になり、補習のクラスへと向かった。
ガラガラガラ
教室に入ると、担任が1人、
あともう1人女子生徒が座っていた。
上履きの色を見ると、どうやら一個上の3年生。
その先輩の元へと進み、隣に座ることにした。
龍我「先輩も補習なんですか?」
いつもの惚けたあざとい顔と一緒に質問した。
「何言ってんだ龍我、補習はお前だけだぞ!」
龍我「え!?」
「その先輩は成績優秀だぞ?」
龍我「じゃあなんで居るんですか!」
「龍我の勉強見てくれるために来たんだよ」
隣の先輩は、
どうやら俺のために勉強を教えてくれるらしい。
まさか…俺のことを知ってて自ら来てくれたとか?
なーんだ、結局、目的は俺ってことじゃん!
龍我「先輩!俺のために来てくれたんですか?」
嬉しそうな言い草で、先輩の方へ視線を向けた。
そしたら、
聞こえるか聞こえないくらいの小さな溜め息をつかれた。
『まさか、補習の生徒があなたとは思わなかった』
龍我「それって…偶然な運命みたいな!」
『私は、あなたみたいなチャラチャラした人苦手なの』
その言葉と同時に
俺へと向き返された視線は
とても冷たいものだった。
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作者名:ホワイトチョコ | 作成日時:2022年6月20日 21時