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体育祭当日。





友達がいない私は
1人で離れたベンチに座っていた。





雲ひとつない満開な青空。





カラッとした空気。





熱い音楽に響き渡る歓声。





『……楽しそう』





本当はあの中に紛れて
一緒にはっちゃけたいし騒ぎたい。





今は、下唇を噛んで
羨むことしか出来なかった。





高校の体育祭は
ラストの3種目以外必須な競技では無いため
午前の間は何もすることがない。





また、校舎には鍵がかかっているため入れず
逃げる場所もなかった。





『那須先輩、どこにいるんだろ…』





たくさんの種類のクラスTシャツが
グラウンドに集まっているので誰が誰だ分からない。





昨日、“俺は走る系の競技に出る”って言ってたけど





走る系の競技いっぱいあるしわかんないよ!





1人で座っているベンチ。





今なら誰も見ないだろうと





ベンチの上に足を上げて、そのまま横になった。





仰向けになって、頭の下に手を入れる。





「まさかのサボり?」





その瞬間、誰かが私の顔を上から覗き込む。





太陽と被って顔がよく見えない。





「俺無視されてる?笑」





でもその声で分かる





『わわ、那須先輩!?』





急いで体を起こそうとした時





ゴチッ





那須先輩のおでこと激突した。





「痛ってぇ〜」





那須先輩へ振り返ると





お互いにおでこを抑えて同じポーズ。





そのまま固まって、次第に面白くなって





「はははは笑笑」





その姿を見て、思わず笑いが起きた。





『痛いですよ笑』


「Aちゃんが急に起き上がるからでしょ笑」





体育祭の日に初めて楽しいと思う時が来た。





全然競技と関係はないけど。





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作者名:ホワイトチョコ | 作成日時:2022年6月20日 21時

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