幸福論 =4=

Episode.182 ページ40

ホルマジオは一人でどんどん飲んでいる。時々食べ物に手をつけて、隣に座るプロシュートに絡んでいた。プロシュートも基本は一人で飲んでいるが、ペッシにあれこれ言っている。ペッシは早くもリタイアしそうだ。ギアッチョは何故かキレていて、メローネがそれをのらりくらりと交わしている。本当にあそこは不思議な仲だ。ソルベとジェラートはお互いにお気に入りのお酒を飲んで仲良くお喋り。あそこだけ世界が違う。

Aはというと、イルーゾォ、リゾットとゆったりお酒を楽しんでいた。


｢ワイワイ飲んだりするのって初めてだけど楽しいね｣

｢まぁ、騒いでるのは主に向こうだがな｣

｢イルーゾォは今はこうだが、酔うとそのうち向こうに参戦し始めるぞ｣


いつもそんな騒いだりしないイルーゾォが、少し見てみたい。怖いもの見たさというのはある。リゾットは酔わない人だと言っていたし、そういうことも知っているんだろう。


｢Aは酔うとどうなるんだ？｣

｢人と飲むことがないから分からないんだよね。一人で飲んでる時は気付いたら寝てるし｣

｢意外と面白いことになったりしてな｣


リゾットがやんわり笑う。こういう笑い方をするのかと驚いたが、少しは酔っているということだろうか。Aが赤ワインを飲み干したところで、後ろからメローネに声をかけられた。


｢なに？｣

｢ギアッチョが、A浮気してる〜って煩くて｣

｢んな事言ってねェだろうがッ！！｣


なんだかよく分からないが、ギアッチョもかなり酔っているようだし絡み酒というやつかもしれない。メローネのヘルプに行ってあげるか。リゾット達に見送られてソファに座ると、すぐギアッチョが隣にやってきた。そしてそのまま流れるように軽く口付けられる。

………


｢は！？え、ちょ！！なに！？｣


あまりのことに上半身が仰け反った。ギアッチョと距離をとろうとしたが、それが彼の癇に障ったのかいつも以上にキレまくるギアッチョ。


｢あ"ぁ！？なんか文句あんのかァッ！？キスくらいでぎゃあぎゃあ騒ぐんじゃねェよ！だいたいこんなのそこらのガキでもしてるぞボケがッ！！｣

｢だ、だって、人と付き合ったこととかないし……。キスとかそういうので、もう、だいぶ限界｣


ああ、顔が熱い。火照ってる。そりゃあギアッチョは今酔ってるから何でも勢いでできるかも知れないけど、こっちはまだ素面だ。みんなもいるのに、恥ずかしすぎて耐えられない。







(はい、A)
(あ、ありがと)

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