幸福論 =4=

Episode.179 ページ37

リゾットが先程までAの座っていた場所に着席したところで、場がシンと静まり返る。さすがというべきか、凄味のようなものがあった。Aはこれから何が話されるか何となく予想はできている。


｢今回集まってもらったのは、ブチャラティ達の件についてだ｣

｢アイツら、その後どうなったか分かったのか｣

｢つい先程、パッショーネの全チームに連絡が入った。パッショーネの新しいボスは、ジョルノ・ジョバァーナだと｣


Aはそれを試験を受けに行った時たまたま聞いた。本部はあちこち大慌てだ。ボスが死んだことや、そのボスを殺した男が新しいボスになると。ただ、Aはそれを聞いただけで誰が生存しているのかまでは知らなかった。未だ緊張感は残っているが、きっと大丈夫だと、そう信じている。


｢それで、他の奴らはどうなったんだ？｣

｢身体に障害が残るなど重傷者多数。しかし、全員無事だと聞いている｣

｢よ、良かったぁ！とにかく生きてるなら……｣


重傷というのはやはり心配だが、それでも生きているというだけで本当に、本当に嬉しい。お見舞いも兼ねて会いに行かないとと思っていると、リゾットがAを見る。


｢あと、これはこのチーム宛へのメールだ。ブチャラティからで、世話になったと。特にAの未来予知のおかげで命拾いした場面も多かったそうだ。今度会いに来て欲しいとある｣


どうやら怪我でまだ動けないらしい。リゾットからそう言われて、そんなの言われるまでもないと思った。何か美味しい果物でも買って会いに行こう。あと綺麗な花束も。


｢ジョルノがボスになったことでパッショーネは新しい体制になる。麻薬関係のものは全て無くすことになるそうだ｣

｢元々ブチャラティ達はそれが目的でもあったんだもんね｣

｢それに伴い全チームの報酬や仕事内容についても見直しがあるらしい。幹部も総入れ替えすると｣

｢反抗勢力を一掃するんだろうな｣


ジョルノくん若いのに仕事が早い。でも、これでこのチームの冷遇も少しは変わるだろう。もし変わらなかったらAが直談判する。恩義を感じているならそれを使わない手はないのだ。


｢組織図も今後変わる。新体制が完成するまでは仕事はない｣

｢えっ｣


Aは思わず声が出た。折角正式メンバーになれたのに、仕事が当面ない。









(そんな……)
(休暇だと思え)
(そんなぁぁ……)

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