Episode.169 ページ27
着替えて部屋を出た。傷は痛むが、歩けないほどじゃない。ヴェネツィアまで行こう。そこまで考えて、そもそもここはどこだろうかと近くの窓をから外を見た。
｢海上……？｣
｢ここは海の上だ｣
｢じゃあ、ヴェネツィアまで｣
図々しくも運んでもらおうと考えた。断れるかと思ったが、空条承太郎はすぐに分かったと答えてこちらを真っ直ぐ見つめてくる。どういう風の吹き回しだろうか。さっきまであんなにここから出さないと言っていたのに。
｢君は本当に変わった。だが、あの時と変わらず、君は誰よりも欲に忠実で、根底では人を気にしない｣
｢それは褒めてる？｣
｢褒めてるな、一応｣
ヴェネツィアまで送ってくれるらしい。自分は戦えない。それに、それはしないと決めた。空条承太郎の言葉を少しは受け入れているのだ。干渉し過ぎるのは良くないと言うなら、自分の命を優先する。自分にできることを精一杯やって、その上であとは本人達が未来を切り開く。
それでもし死んでしまったなら、それは、ブチャラティ達の決意を尊重した結果だと言い訳ができる。そうやって逃げなければ、彼らの死を背負うことは自分にはできそうになかった。
最低だ。だが、最初からそうだった。
最初からAは自分の幸せしか考えていなかった。
ただそれが、結果として仲間を救っていたから
Aは忘れていた。
自分勝手のクソ女、と呼ばれたあの日の衝撃を。
｢私は最低だけど、最低なりに頑張ったら救えるかな｣
｢人間なんて、認めたくないだけでどこかにそう言うものがある。君のそれは、無知の知、というやつだ｣
｢そんな良いもんじゃないけどね｣
＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿
ヴェネツィアに一番近い港に船を止めてもらい、Aはそこで降りた。空条承太郎がその後どうするのかは知らないが、恐らく関わろうとはしないだろう。とにかく、あの時読んだ日記を頼りに進むしかない。ブチャラティはトリッシュを引き渡す際、ボスに攻撃して逆にやられてしまう。
リゾットがどこまで教えたのかは分からないが、それを教えていたら、もしかしたらトリッシュを連れてどこかへ逃げているかもしれない。そうなると、もうボスも裏切りに気付いて手を打っている。
チームのみんなに頼れない以上、Aにできるのは未来を読んで教えてあげるだけ。
｢探さなきゃ……｣
｢A、その傷で動くな｣
(なんで)
(ここに)
(関わる気はないって)
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Crow(プロフ) - 定期的に読みたくなっちゃいます。5、6周はしてるから内容覚えちゃいました笑 これからの活動も応援してます (2020年2月9日 15時) (
レス) id: e5ce766b8a (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - るこさん» こんな何度も感想下さって本当に有難う御座いますッ！お互いお疲れ様です！いつかリメイクした作品も読んでいただけると嬉しいですm(*_ _)m (2019年2月25日 23時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
るこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！毎度のこと一つ一つのお話が面白く、描写の仕方や、感情の表現の仕方などとても凝っていて、本当におもしろく話に引き込まれました。そして本当にお疲れ様でした！！番外編楽しみにしていますね！！！ (2019年2月25日 17時) (レス) id: c7737debdf (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - ごみさん» ありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しい(泣)番外編もお楽しみください＜(_ _)＞ (2019年2月25日 17時) (レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
ごみ(プロフ) - 完結お疲れ様でした！途中から見始めましたが本当に面白かったです！番外編楽しみにしてます！ (2019年2月25日 16時) (レス) id: 83e9aedb9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年2月23日 20時
