幸福論 =4=

Episode.160 ページ18

｢つまり貴方の目的はポルナレフさんを探すこと。ならば、私を早く帰すことです。これから、ボスについても調べ｣

｢3ヵ月｣

｢……何がですか｣

｢3ヵ月、我々と行動を共にしてパッショーネのボスについて探って欲しい｣


意味が分からない。この男は話しを聞いていなかったのか。これからAは、仲間と共にそのボスについて調べると、そう言っているんだ。それを、何故わざわざ財団と一緒にやらなければならない。


｢貴方達と行動を共にしてなんのメリットが？｣

｢確実にその居場所を突き止められる｣

｢なんの根拠があってそんな｣

｢君の、心を見る能力を使ってだ｣


馬鹿にするのも大概にして欲しい。Aが核として必要ならば、それは財団でなくてもいいはずだ。それじゃあメリットとして成り立たない。それはそちらのメリットであって、Aのメリットとはいえない。


｢その能力を、ここなら最大限に活かせる。パッショーネにも一部繋がりを作っているし、裏社会に通じる人間ともコンタクトがとれる｣

｢……まさか、口で聞き出せないから私のスタンドで強行突破すると、そういう事ですか｣


返事はないが、その沈黙はイエスと捉えていいものだろう。たしかに、その手の偉い人たちの心を見れば何か手がかりくらいは掴めるかもしれない。


｢君はチームの正式なメンバーではないはずだ｣

｢だったら何だと言うんですか｣

｢それでもそこまでそのチームに固執する。そこが大事だと思っているからだ｣


そう。その通りだ。大事だから、こんなところでグダグダとやってるわけにはいかない。ボスの居場所についてもっと詳細が分かればいいとは思っていたが、それは仲間と共にやりたいこと。だから……


｢その仲間のために、我々と行動を共にしてくれ｣

｢……そういう言い方、嫌ですね｣

｢3ヵ月、それで何も分からなければ、それなりの代価を払おう｣


ブチャラティやリゾット達は向こうで独自に動くだろう。しかし、裏社会のお偉い方の情報なんてそうそう手に入らない。たしかに、このチャンスが貴重であることは間違いない。しかし、3ヶ月も拘束されるわけにはいかなかった。

……あの時もこんな決断をした。

未来の幸せのために、今の幸せを犠牲にする


｢代価はいりません｣

｢ならば……｣

｢その代わり、期間を半分にして下さい｣


これで本当にいいのだろうか。









(居場所)
(いや、ボスに繋がること)
(なんでもいい)

Episode.161→←Episode.159

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す