【d!】記憶を失った精霊は魔界で愛される (ページ8)

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day6 ページ8

sha side

ついさっきキッチンに向かったはずのオスマンがもう戻ってきた。紅茶の入ったティーカップだけ持って。

「飯食わんの？」
「ん〜、後で皆と食べよかな。ね、シャオロンそんなことよりさ」

おー。ナチュラルに精霊にいちばん近い席陣取ったな。

「うん？」
「この子の名前ってなんなん〜？」

…

「え、もしや知らん感じ？」
「知らん感じ…」

完っ全に頭から抜けてた…！精霊は〝精霊〟って種族単位の認識しかなかったから盲点やわ。
そりゃあ個体には名前あるか、たしかに。

「なーあ、オマエの名前なんて言うの？」

そうなると気になりすぎて、必死に食べ物を詰め込んでる最中の精霊の頬をつついて聞いてみる。

「なまえ…？」
「そ、俺はシャオロンやろ？んでこっちがオスマンな」

しゃーおーろーん
おーすーまーん

と俺らを交互に指さしてゆっくり言ってみる。思ったより名前の説明ってムズい。

「うう、なまえ、なまえ………」

何回か繰り返し続けてると〝名前〟がどういうもんかは分かったらしい。けど、今度は首を捻ってうんうん唸りだしてもうた。

そういやコイツ生まれたてぽかったしそもそも無い可能性もあるか…

「ごめん難しいこと聞いたな。無理せんくて」

ええよ
と言いかけたところで精霊ががばっと顔をあげた。

「Aさま！」

A…さま？