【twst】壮絶な過去なんて無いんだが。

バラ寮長の過去、いち。 ページ47

『....何処、ここ』







急に前が遠くなったかと思ったら...なにここ。真っ白。









右、左。後ろも当然、自分の影すらもなく。








あるのは俺の体と、向こうで俯くバラ寮長だけ。









『.....バラ寮ちょ、』








そこまで言いかけたところで、突然目の前の景色が一変し、白黒の何処かの建物の中となった。








色があるのは俺だけで、人間は真っ黒。







.....なんだろう、これ。








そう思っていると、二つある影の大きいほうが話し始めた。








「8歳のお誕生日おめでとうリドル。




今年のお誕生日のケーキは、頭が良くなるレシチンたっぷりの大豆粉とナッツの低糖質ケーキよ」







『....リドル？』








じゃあこっちの小さいのは、小さい頃のバラ寮長？








『なんで....』








そう呟いても聞こえないのか、あっちは会話を進めている。









「ありがとう、ママ。でも、あのね、ボク....一度でいいから真っ赤な苺がたくさん乗ったタルトが食べてみたいな....」







「まあ、なんてことを言うの！あんな砂糖の塊みたいなお菓子、毒みたいなものよ。


1切れで1日分の糖質の理想摂取量をオーバーするわ。





さあ、今日はドコサヘキサエン酸とイコサペンタエン酸がたっぷりのヘルシーなマグロのソテーよ。




ああ、でも8歳児の理想のカロリー摂取量は1食600kcal以内だから...100g以上食べ過ぎないで。







いいわね。」







「....はい、ママ。」










......なにこれ。










『お父さんと似てるなあ。』









食べるものとかは自分で作ってたからなんとも言えないけど....あのバラ寮長のお母さん、俺のお父さんと雰囲気が似てる。








お父さんのほうがかっこいいしスゴいけど。








多分周りからしたら大丈夫か、と思われるような思考に陥っていると、最初の白い空間に戻る。










【ボクは、ずっと真っ赤な苺のタルトが食べてみたかった。】








バラ寮長の姿が、黒い長方形の図形によって所々見えなくなる







長方形の中心にはさっきのバラ寮長が放った言葉が刻まれていた。









【たまに通りかかるケーキ屋さんのショーウィンドウに飾ってある、宝石みたいなタルト。】








また、背景が先程の建物になる。









「本日の古典魔法の勉強はここまで。」








どうやら、バラ寮長のお母さんが勉強を教えているようだ。








　

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