【twst】壮絶な過去なんて無いんだが。

異常事態。 ページ45

振り返ったとき、額に何か暖かい感触を覚えた。








ちょっと柔らかい感じの。








.....ん？









暫くそのままでいると、喉しか見えなかったマレウスの顔が目にうつる。









「ではな」









にや、と笑ったマレウスにぽかんとするパキラ、真顔のハナカイドウ、楽しそうにするマツ。








『.......馬鹿？』









いやいやいや、男にするもんじゃないでしょ今の。でこちゅ。あとマツは喜ぶな








そんなことを考えていると、パキラがものすごい勢いで俺の額を、丁寧にマレウスの口を拭き始めた。







『摩擦いった』









「わ、わわ若様！！？？どうされたのですか！！？？コレットも若様になにをした！！？？？」









最後の最後までうるさいなこいつ。









....まあそんなこんなで俺は寮へ帰った。








ちょっと長引いちゃったから決闘はもう終わってるかもな、なんて思ったりしていた。









.......寮が、あんなことになってるなんて、何一つ思っていなかった。











　











　









　









　









『は？』









そう言わずにはいられなかった。









俺が手入れをしたバラの木は空へ浮かび上がり、その空はお世辞にも綺麗とは言えなかった。








.......この規模の魔法を長時間使ったとなると、









『.......オーバー、ブロット......？』










お父さんから厳しく言われた言葉。








“オーバーブロットは絶対にするな”....








.......命を落とす可能性もあるモノ。









誰が？









俺が思ったそのとき、近くから何かの大きな音がした。










その音に引き寄せられるように、俺の足は勝手に動いていた。









ひとつの怒りを胸に。










　











　











『なに、これ。』










決闘場所に来てみると、非常事態と言えるような有り様の現状があった。








何より、バラ寮長が最も酷い。血色が悪い肌が分かりやすく見える赤と黒のドレスを身に纏い、背後には何かの化け物がいた。








これが、オーバーブロット。









「あれ、コレットくん！？今まで何処にいたの！？じゃなくて、危ないから退いて退いて！」








俺を見つけたラークスパーがそう話しかけてくる。....いや、










それは無理かな。








一本のマジカルペンを取り出した俺は、戦闘体勢に入った。








　

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