何の変哲もない2話 ページ3
さて、話を続けよう。
親の支配下から抜けることをいつもいつも、飽きること無く想像していた私。
友達を作ろうともせず、親に無理やり決められた許婚にも興味を持たず。
どうすれば親を裏切れるか。
どうすれば親を苦しめれるか。
ただ、ただそれだけを考え生きてきた。
ある朝、テレビを付けると、こんな言葉が流れてきた。
【憎しみだけで生きていると、いつか壊れてしまうよ】
まるで私になげかけるような言葉だったが、私はその言葉をも憎んだ。
生温い家庭でなめるように愛されて来た主人公が主役のアニメだった。
なにも恨まず育って来た奴になにがわかる。
壊れてもいい、姉のためなら。
そして、そんなセリフを考えたテレビ局の人間も、くだらない思考をしていると軽蔑した。
この日からか、本気で周りのありとあらゆる奴らを恨み始めたのは。
いつまでもぬるま湯にひたっている奴ら、幼い頃にぬるま湯から引っ張り挙げられ、ひたすら熱湯の中にいた私。
火傷の数は、私の方が圧倒的に多いの。
なのに奴らは金しか見てない。
ああ、醜い、穢わらしい。
……私は考えた。
この世の全ての人間を滅することを目標とするグループ、ヒーローなどという団体の敵であるグループ。
ヴィランになればいいのではないかと。
私は足掻いた。
白鳥は見た目は綺麗だが足元は必死にもがいているという。
私は、そんな白鳥のように生きてきた。
すると中学三年生のあるひ、雄英のヒーロー科に推薦で入れば一人暮らしをしてもいいと。
嬉しさで飛び上がりそうになった。
ついに、この日がきたと。
私は生徒会長であった、先生からの評判も良かったし、生徒からの人望もあった。
私の許婚はNo.2のヒーローの息子、推薦は確実であった。
そうしてわたしは、雄英に推薦で入り、一人暮らしを始めた。
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