君に愛を教えたい黄緑桃青 (ページ2)

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「……いきなり、なに？」

近づいてきた男性は杖を持っていた。

足が悪いわけではなく

自分の歩く先を叩きながら歩いてきた。

「っ…⁉ もしかして目見えてないんですか」

「え？ああ…そやで。」

声が出なかった

珍しいとか、気持ち悪いとか、理解不明とか

そんな感情からじゃなくて

辛いだろうなとか、共感する気持ちだった。

冷たく接してしまった事を深く後悔した。

「…ごめんなさい、あの、あなたのこと怪しい
人だと。僕がそっち行きますよ…」

「…ありがと」

結局俺の方から近づいて

ベンチを見つけたから男性の手をひいて、
2人で座った。

「名前は？」

「え、俺…は、神山智洋です」

「そっかぁ俺、中間淳太。
目見えへんねん…緑内障って病気になってな、あ、中学の時に。
それからずっと入院してる、親もいないし
兄弟も、親戚も。身内は誰もいないねん」

そんな辛い話をされて、

他に話した事と言えば俺より中間さんは年上な事と、

中間さんはあと少しで退院できて独り暮らしを始めるって事。

話していてわかったことは、

中間さんは少し不思議で

大人びてて、かっこよくて。

でも少し天然な所があって

かわいい一面もある。

本当に目が見えてないのかを疑うくらいに

中間さんは明るい性格だった。