一心 ページ21
*kiriyama*
…やってもうた。
絶対バレたらあかんかったのに。
淳太くんにだけは、絶対バレたくなかったのに。
絶対見られたらあかんのに。
左手が震えてるところ、なんて……
ナースに持ってきてもらった薬剤のアンプルを手に取った瞬間、前触れもなく震え始めた左手。
俺の不安を煽るように、小さなガラスの中で液体が揺れる。
すかさず淳太くんが代わってくれたから、多分他の人には気づかれてへんと思う。
なんで、、、なんで、このタイミングで震えんねん…
中間「よし、頑張ったねー。今お薬入れたから、楽になるよー」
桐山「っ、検査で使ったお薬に、レンくんの体がちょっとびっくりしちゃったみたいです。もう大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。レンっ、頑張ったね」
桐山「発疹出てるところ、保冷剤で冷やしたげて。なるべく掻かないように。俺も気にしとくけど、なんかあったらすぐ連絡ちょーだい」
Ns「分かりました」
淳太くんに気付かれた焦りと、左手が震えたことへの恐怖。
心臓がバクバクとうるさく音を立てて、まるで呼吸の仕方を忘れたような苦しさに襲われるのを、なんとか隠す。
とりあえず、この場を乗り切らんと。
患者さんの前では、ご家族の前では、他の職員の前では、ちゃんと医者でおらんと。
その一心やった。
そこからどう戻ってきたのかはよく思い出せへん。
気付いたら、もはや見慣れてしまった仮眠室の景色が目の前に広がっとって、無性に安心して目を閉じた。
中間「っ照史！」
�霤帖屬辰函◆�危なかったぁ。限界やったんですかね…」
中間「まぁ、それもあるとは思うけど……」
ふわふわした身体の感覚と、遠のいていく意識の中何となく聞こえた二人の会話。
それらが一瞬にして暗闇に吸い込まれていった。
＿＿＿目を開けると急な眩しさに襲われる。それもそのはず。俺はカテーテル室に立っていた。
いつの間にかしっかりガウンも着とって、部屋の全員が俺を見とる。
桐山「それでは、心房細動に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術を始めます。メス下さい」
…そっか、アブレーションやるんやったっけ。
足の付け根、カテーテルの挿入部位にメスの刃を当てたその瞬間、またしてもガタガタと左手が震え始めた。
っ、嘘やん、、あかんって
必死に右手で抑えるけどそんなんで治まるわけなくて、メスを入れた部分からは出血が止まらへん。
っはぁ、はぁ、っはぁ、どうしよ、、手が動かんっ
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エミーリア(プロフ) - ふぇるさん» コメントありがとうございます！医療系のお話良いですよね〜！！リアルを追求するが故に更新が遅くなりがちですが、これからも読んで下さると嬉しいです！よろしくお願いします♪ (2023年2月8日 22時) (
レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
エミーリア(プロフ) - きのこの里さん» お返事遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます！今までのお話の中の伏線を思い出しながら、楽しんで頂けたらと思います！！これからもよろしくお願いします♪ (2023年2月8日 22時) (レス) id: f671841eb7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇる(プロフ) - 医療系のお話が好きで、一気読みさせてもらいました。とてもリアルな描写に一目惚れしました。これからも更新、頑張ってください！（語彙力の無さは気にしないでください。） (2023年1月29日 16時) (レス) id: 6e2686eef6 (このIDを非表示/違反報告)
きのこの里(プロフ) - 待ってました！更新楽しみにしてます！ (2023年1月19日 3時) (レス) @page1 id: c631ff88c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミーリア | 作成日時：2023年1月19日 2時
