重なる神の手〜オペ室の2人〜 #4

悪夢 ページ13

*kiriyama*




"無責任やろ"


"お前らみんな人殺しや"


''娘を返せ''




＿＿＿＿＿＿＿『お前のせいや』



桐山「っ、はぁ！っはぁ、はぁ、はぁ…。またか、、、」



時刻は朝4時。

夢の中で怒鳴られて目が覚めた。

今日で4日連続や。いい加減ちゃんと寝たいんやけど、毎日のように夢の中で怒鳴られては目を覚ます。

これでも今日は朝まで寝れた方。


…まさかな。自分のメンタルがこんなにも弱いとは思わんかったわ。




Dr「おそらくASD、つまり急性ストレス障害ですね。神経系に問題は見られませんでした。精神症状だけでなく、震えや動悸などの身体症状が出ることもあるんですよ」


桐山「っ…。あの、具体的に治療というのはどんな風になりますか？」


Dr「もうお仕事に復帰されてるとの事ですが、原因となった物から離れる事も治療のひとつです。あとは、心を許せる方に話してみたりするなど、安心できる･安全である状況を心身共に理解できるようになれば自然回復できますよ」


桐山「そう、ですか…。ありがとうございます」




せっかくの休日に、わざわざ電車を乗りついでまで離れた病院にやって来た。

繰り返し見る夢や集中力の低下、目眩に始まり動悸などの身体症状、しまいには練習の為にカテを握ると左手が震えてしまうようになって、仕方なく受診する事にしたんよ。

せやけど、自分の病院で診てもらうなんて嫌やん？

あの事件で桐山先生が、、、なんて知られた無いし。


原因から離れる、親しい人に話す、、、か




桐山「出来るわけ、ないやんか…」




きっと大丈夫やんな。

ASDなら1ヶ月以内に症状は自然回復するし、一過性の症状やってことは分かってる。まだ時間が経ってへんから過敏になってしもうてるだけや。


とりあえず軽い眠剤だけ貰って帰路に着いた。

家に着いて、貰ったパンフレットをペラペラと読んでみる。


"健康的な食事、睡眠、運動、規則正しい生活を心がけストレスの軽減を目指しましょう"




桐山「そんなん無理やって…」




いっその事神経損傷やったら、手術なり薬なりで治るんやけどな。

自分でも予想はしてたはずやのに、実際病名を突きつけられると結構くるわ…｡


せやけど、立ち止まってる暇はないねん。

2ヶ月後なんてあっという間に来てまう。

その前に心房中隔欠損症のカテーテル閉鎖術やって控えてるし、しっかりと準備せな。

こんな怪我、出来ひん言い訳にならんし、何より俺に託してくれた患者さんを裏切られへんもん。

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