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「ふーん…成る程、よくわかったよ
通りでお前らいっつも一緒にいるわけだ…
よかったな
自分に何かを与えてくれる人に会えて。」
「ああ。今でも思い返すとヒヤヒヤする…あの時リョーフキーと出逢っていなかったら、一体どんな無法者になっていたか…想像したくもない。
女性への気遣いの仕方も、あいつから教わったんだ」
「え"っ……あの薄っぺらい優男から、こんな完全無欠のイケメンが生まれるとは……世の中わからないもんだねぇ……」
「誰目線で語ってるんだお前は」
アダムが不機嫌そうに溜息をつくと
シークは幸せそうに目を細める
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「やっぱり、心配いらなかったな…」
小首を傾げるアダム。シークはさらに続けた。
「俺さ、前に言ったろ?
2人にはこれからも、ずーっとずーっと長生きしてて欲しいって。
俺は軍医になった今でもそう思ってるよ。
そりゃあもちろん、自分で自分のやりたいことをして、その結果命を捨てざるを得ないなら…
自分の命を賭して、守りたいものがあるのなら、
それはそれで良い生き方だと思うけど。
だけど俺はね。
お前らが『他人の意思を 自分の意思と勘違いして』命を絶ってしまうのが何よりも怖いんだ。
アダムもリョーフキーも、すぐ一人で突っ走るから……心配ったらありゃしない。
だから二人なら…二人で居れば大丈夫だろうな…って。そう思ってたんだ。ずっと。」
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静かに外を見つめ、物憂げに語るシークの顔には
いつになく儚げな微笑が浮かべられていた。
そうしてふと、アダムは思う。
戦場で見た、あの苦しそうな泣き顔。
様々な感情が入り乱れたようなあの表情は
普段のシークからは想像もつかない。
だから
きっと彼は、人を柔らかく包み込むような微笑みの裏で、いつも苦悩していたのだろう。
自分にただの1つも還元されない
誰かの“幸せ”のために。
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「………そんなふうに、思ってくれていたんだな」
「え?」
「ありがとうシーク。いつも心配をかけてすまないな。それと、
俺にとっては、お前もかけがえのない友の一人だ。
これからも、よろしく頼む」
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シークは、驚きに目を見開いて、しばらくの間固まっていた
しかし、少し悲しそうに目を伏せると
屈託のない笑みを浮かべて言った。
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「俺の方こそ、ありがとな。アダム。」
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ノズル - コメントしてくれても…ええんやで(定期) (2018年12月2日 17時) (レス) id: 29d62f5c94 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - 復帰しました (2018年8月13日 9時) (レス) id: da0e8a2348 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - 本作でもよろしくお願いします。 (2018年7月24日 6時) (レス) id: da0e8a2348 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノズル | 作成日時:2018年7月15日 14時