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外に出てみるとまだ日は登っておらず
遠く 鳥のさえずりが響いていた
昨日の雨は物の見事に上がり、今はただ 疎らに雲が浮かんでいる程度だ
はるか遠くを眺めれば そこにはやはり、真紅の旗…
向こうも戦場に戻ってきたということは
明日か、早ければ今日にでも
また戦になるだろう
毎度のごとく戦場で対峙する あの忌々しい女団長の顔を思い浮かべたアダムは、
その脳内映像を取っ払うように 大きく深呼吸した
と、
「よう、相変わらず早いね」
すぐ後ろで発せられた声、
アダムが反射的に氷の剣をだして構えると
そこに居たのは 黒髪に赤褐色の目。特徴的な右頬の痣のある
藪医者であり数少ない友でもある、シークだった。
「なんだシークか…あと少しで首を落とすところだったぞ」
「ちょっと 俺が悪いみたいに言わないでくれる！？」
「俺が普通に背後を取られて気づかないわけがあるか！どうせからかい半分で足音忍ばせて来たんだろ！」
「普通に来たよ！至って！普通に！」
いつものように、他愛も無い言い争いをして
そうしてどのくらい経ったか
突然シークが、くすくすと楽しげに笑い始めた
訝しげに首を捻ったアダムを見て
シークが正面から 彼を見据える
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「アダム。俺、軍医になるよ」
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「…………え」
それは、予想だにしない言葉だった。
「本当は…ずっと前から考えてたんだ
このまま藪医者でいることが本当に正しいのかどうか
国境に関係なく苦しむ人々を助けるだなんて、絵空事もいいとこだけど
俺はそれでも、その流儀を今まで貫き通してきた
でも、だったら尚更、自分の職の好き嫌いで
自分が助けられる命から目を背けちゃいけないなって…
たとえ その人の意思で散っていく命だとしても
その人が、命が尽きる最期の瞬間まで、幸せに生きてくれるなら
それを生きがいにするのも 悪くないのかなって
お前らをみて、そう思ったんだよ
そりゃあ、今までみたいに“誰でも”とはいかないけど
そこはまた、軍医を辞めてから考えることにするさ」
…向けられた笑顔はやはり、屈託のない美しく朗らかなもので
それが彼の本心なのだと、アダムは一目で、そう直感した
嬉しいような 寂しいような気もしたが
思わず釣られて 笑みがこぼれる
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眩い朝の光
2人の影が、長く濃く
大地に伸びていた。
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無気力人間A(プロフ) - コメ失礼します！この小説、読んでて面白いし入り込めるのでとても好きです。文と文の間も狭すぎず広すぎずちょうどいいので見やすいです！まだ1しか読んでないので4まで読んだらまたコメさせていただきます！ (2019年11月18日 15時) (
レス) id: 59ffb7dac7 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - コメントありがとうございます！自分も今まで挑戦したことのない文体で、かなり困惑しながら書いている場面も多いので、面白いと思っていただけて幸いです…！ (2018年6月27日 7時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
N;Re(プロフ) - なかなか無い形態で面白いです。更新応援しています。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: 84a3c96542 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - コメントしてくれても…いいんですよ（定期） (2018年6月26日 20時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - レオンブルク聖帝国を聖王国に改変しました。 (2018年6月17日 12時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノズル | 作成日時：2018年4月7日 9時
