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° ページ38

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あれからどれくらいの時が経ったか。

眩い光の中、目を開けてみると、

そこは田舎の診療所ではなく、見慣れた王城の医務室。







消毒液の匂い。白い天井が視界に映る。

そしてそこに、突然何かが割り込んできたかと思うと






「ようやく気がついたか」







金に、特徴的な白十字の走った瞳。







「…………アダムか…」


「なるほど、その様子だと特に記憶障害は残っていないみたいだな。良かった」








いつもの調子で、淡白に物事を述べるアダム…

だがリョーフキーはそこに、なにか言い知れぬ違和感を感じた








「…なあ、アダム。俺たちがこの国に帰還してから、どれくらい経った」


「………………1週間…くらいだな。ここに帰還したのは一昨日。俺が目覚めたのは昨日。」


「怪我は?」


「…は?」


「だってお前、峠を越えた時 魔力切れであちこち出血してただろう?軍医達にも、もうお前は助からないって言われたし…」


「…そんなに大怪我だったのか……誰からも何も聞かされないから、てっきり気絶していただけかと思ったんだが…どうりで医師達に驚かれたわけだ。

でも…それなら何故…」









ここでリョーフキーは、自分が感じていた違和感の正体に気づく。








そう、

傷跡が見当たらないのだ。



薄い痣は残っているものの、
自分の傷も アダムの傷も、まるで無かったかのように完治している。








その時、朧げに記憶の中で笑いかけた少年の姿が蘇った








.









(大丈夫ですよ。必ず、助けますから)







.






「あ………ッそうだ…!お前…は、気失ってて覚えてないかもしんないけど

俺がお前を担ぎ込んだ診療所の子!

軍医にも見放されて、たまたま見つけた小さい診療所で…

そう…その子が俺らを治療してくれたんだよ!」






「全く身に覚えがない」






「うーん…ここいらじゃ珍しい黒髪だったのは覚えてるんだけどなぁ……

あぁ、あと








.








.








頰に、痣があった」






「………」








.







「…って、お前に言っても仕方ないよなぁ…しょうがない。やっぱり師範に聞きに行k」


「リョーフキー」


「…………ん?」





「そいつの名前。わかるか」


「…いや、わからん」


「診療所の場所は」


「なんとなく」


「案内しろ」


「え……






.






はぁ!?」









突然顔色を変えたアダムは

有無を言わさず、王城の外へと走り出た





.

°→←外伝 “α”



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無気力人間A(プロフ) - コメ失礼します!この小説、読んでて面白いし入り込めるのでとても好きです。文と文の間も狭すぎず広すぎずちょうどいいので見やすいです!まだ1しか読んでないので4まで読んだらまたコメさせていただきます! (2019年11月18日 15時) (レス) id: 59ffb7dac7 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - コメントありがとうございます!自分も今まで挑戦したことのない文体で、かなり困惑しながら書いている場面も多いので、面白いと思っていただけて幸いです…! (2018年6月27日 7時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
N;Re(プロフ) - なかなか無い形態で面白いです。更新応援しています。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: 84a3c96542 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - コメントしてくれても…いいんですよ(定期) (2018年6月26日 20時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - レオンブルク聖帝国を聖王国に改変しました。 (2018年6月17日 12時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ノズル | 作成日時:2018年4月7日 9時

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