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………
その日の明方頃。
記念すべき五徹目を乗り越えたシークは、
昨晩 無理矢理 酒を飲ませて寝付かせたアダムをリョーフキーの肩に乗せ
その手に一袋分の干し肉を持たせた。
「さ、これで今日の昼までには陣に戻れるだろ？
あぁ あと言っとくけど」
言いかけた言葉を、リョーフキーが制した
「あー、うん。わかってるわかってる
お前の事は、絶対に公言したりしない。
お前が 国に目つけられたくないのは知ってるから
俺らだって、いくら腕が良くても、本人の希望も無しに軍医に斡旋したりはしない」
「リョーフキーが言っても説得力無いよ
お前うっかり口滑らしそうだし。
そんなことになったら
俺マジで夜逃げコースだから勘弁してくれよ？」
軽く冗談を飛ばした後
シークはわざとらしく厄介払いをするようにリョーフキーを扉の外に追いやった
「頼むから、もう真夜中に急患連れ込んでくるなよ
って…言っても無駄だろうけどな」
すると、シークは自分よりいくらか高いリョーフキーの頭を やさしく小突いた
「治療費、銀貨100枚だからな
ツケてやってんだからいい加減払えよ！」
ばたん、と目の前で扉が閉まり
後にはカウベルのようなくぐもった コロンコロンという音が残った
…シークの店のドアに、いつも掛けられている優しい音色の鐘。
ドアの向こうに消える一瞬、シークは人の良さそうな笑みを浮かべていた
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「ほんと……なんだかんだ言って
良い奴なんだよなぁ……」
つられて、リョーフキーも笑顔になる。
真夜中になるとアダムの治療を頼み、
日々 多大な迷惑をかけていることは承知の上。
だが、それでもシークは、敬遠せずに 恐れることなく側に居てくれる。
すぐ後ろで寝息を立てる、この団長にだって
恐れるどころか堂々と向き合いに行くのだ。
それはリョーフキーにとって、意外でもあったし
同時に嬉しくもあった。
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シークと出逢い、早5年
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「ん…」
「お、アダムー起きたかー？」
「……シークは？」
「あー………怪我 治ってこっち帰ってきたら、また一緒に酒盛りしようなーって言ってた」
「おぉ、それは…楽しみだな。
ありがとう、もう歩ける」
アダムにとっても、リョーフキーにとっても
その『藪医者』は大切な友人となっていた
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無気力人間A(プロフ) - コメ失礼します！この小説、読んでて面白いし入り込めるのでとても好きです。文と文の間も狭すぎず広すぎずちょうどいいので見やすいです！まだ1しか読んでないので4まで読んだらまたコメさせていただきます！ (2019年11月18日 15時) (
レス) id: 59ffb7dac7 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - コメントありがとうございます！自分も今まで挑戦したことのない文体で、かなり困惑しながら書いている場面も多いので、面白いと思っていただけて幸いです…！ (2018年6月27日 7時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
N;Re(プロフ) - なかなか無い形態で面白いです。更新応援しています。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: 84a3c96542 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - コメントしてくれても…いいんですよ（定期） (2018年6月26日 20時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - レオンブルク聖帝国を聖王国に改変しました。 (2018年6月17日 12時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノズル | 作成日時：2018年4月7日 9時
