第8話 親愛 ページ19
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…………
灰色の空の下
辺り一面に雪が降り積もっていた。
「……ソーン…」
もう、
弟は数日前から目を覚ましていない。
薬を買う金も無く
兄弟2人の腹を満たすだけの食べ物も無い
盗みも、殺しも
生きるためなら
なんだって、やってきたのに…
.
「………助けたい」
呟くと、身体の中の“何か”が答えた
“征服せよ”と
すると 別の“何か”も次々と答える
“他者を喰らえ”
“他者を呪え”
“欺け”
“切り裂け”
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…地の底から響くようなその声に
耳を塞いだ。
…聞きたくなかった。
.
.
刹那、
「………あの」
…突如、背中に悪寒が走る
「触るな！！！」
半ば反射的に身体が動いた
.
…にわかに冷気が頬を撫でて、
あぁ、また自分は
人を殺してしまったのか、と
もう幾度目かもわからない喪失感を覚えた
.
すると
「うわ、凄いね…これ…てか、冷たっ…」
「…………え？」
恐る恐る、目を開けると
そこには自分と同じ背丈の少年が、半身氷に包まれたまま
やさしく微笑んでいた
少年は左手で自分が出した氷に触れて、何かを呟く
途端、氷に白く太いヒビが入り、そして、砕けた。
彼は、傷ついた右半身を気に留めることなく、今度は自分達の前に手をかざす
ふわり、と ほのかな光が現れて
弟と自分を包みこんだ
……身体が軽い
じんわりとした温もりも、伝わってくる
.
………少年が手を下ろすと、光は消え、その代わりに
隣から聞こえる弟の寝息は、今までの 浅く苦しげなものではなく
深くリズミカルな呼吸に変わっていた
.
「よかった…もう大丈夫だよ！
あ、あとこれ。2人で食べて」
手の上に乗っていたのは、大きなパン…
「………いらない」
………どうして…“化物”とまで呼ばれた自分に、彼は優しくしてくれるのか
ただただ、困惑していたんだと思う
「…………どうせ、死ぬんだ」
俯く自分に、少年の手が触れた
「…雷雨の後には、必ず平穏が訪れるものだよ
待とう。平穏を。僕も一緒に居てあげるから。」
その、人の良さそうな笑みは
優しい、温かみに満ちていた。
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無気力人間A(プロフ) - コメ失礼します！この小説、読んでて面白いし入り込めるのでとても好きです。文と文の間も狭すぎず広すぎずちょうどいいので見やすいです！まだ1しか読んでないので4まで読んだらまたコメさせていただきます！ (2019年11月18日 15時) (
レス) id: 59ffb7dac7 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - コメントありがとうございます！自分も今まで挑戦したことのない文体で、かなり困惑しながら書いている場面も多いので、面白いと思っていただけて幸いです…！ (2018年6月27日 7時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
N;Re(プロフ) - なかなか無い形態で面白いです。更新応援しています。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: 84a3c96542 (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - コメントしてくれても…いいんですよ（定期） (2018年6月26日 20時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
ノズル - レオンブルク聖帝国を聖王国に改変しました。 (2018年6月17日 12時) (レス) id: 4c1514854c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノズル | 作成日時：2018年4月7日 9時
