No.57 : 緊張 ページ10
*
言っちゃった後でなんだけど、いつもの私らしくない言葉だなって思う。
「一瞬でも緑谷くんの“ヒーロー”さんになれたんだ」
無意識に出た言葉だった。
今となってはどうしてこんなことを言ったのか、自分でも分かんない。
それからというもの。緑谷くんの様子がおかしくて、私が名前を呼んでも……
「緑谷、くん」
「……あ！ は、はい！！」
ワンテンポ遅れてしまう返事が返ってくる。そんなに私の言ったことがおかしかったのかな。
そう思うとすごく恥ずかしくなった。
会話が無いまま最初に戻ってしまったまま暫くいると、買い出しチームがいっぱいの食べ物を持って戻って来た。
ポテトやハンバーガーが机の上を埋め尽くし、６種類のジュースからそれぞれ好きな物を取った。
「晴陽は何にする？」
「えーと……りんごジュース」
炭酸系は苦手だから。
りんごジュースとハンバーガーを受け取り皆で和気あいあいと食事を楽しんでいると、耳郎さんが言った。
「ぶっちゃけみんなさ──」
次の瞬間、耳郎さん以外の皆の食べる手が止まる。
「“体育祭”についてどう思ってる？」
一気に変わった空気の中、耳郎さんは１人で「やっぱ言わない方が良かったか」と平然とポテトを口に入れた。
皆が敢えて考えないようにしていた話題。
まず答えたのは、口の周りをケチャップで汚した切島くんだった。
「毎年テレビで見てっけどよ、ぶっちゃけ実感ねーんだよな」
「あー分かる」
と続いて答えるのは上鳴くん。
「毎年盛大過ぎて自分がそこに立てるとかリアリティがないって言うか、な？」
同意を求められたので皆で首を縦に振る。
教室ではあんなにやる気に満ちていた皆だけど、リラックスした今だから漏らす本音。
やっぱり緊張しているのは皆同じなんだ。
「それに、かっちゃんが外部に敵作っちゃったからね……」
「シンプルで男らしかったけどな」
「そう思ってるの切島くんだけだと思うな……」
一体どうなる体育祭。考えるだけで手に汗が滲んできた。
爆豪くんも周りを巻き込まないで欲しい。
楽しかった空気が沈む。
「やるしかないよ！」
けれど、麗日さんがそんな空気を吹き飛ばした。
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No.58 : 前向きな言葉→←No.56 : 弾む side I.M.
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ネム(プロフ) - 50話の先制布告が先生布告になってますよ！ 頑張ってください！ (2018年1月26日 3時) (
レス) id: 26189ae388 (このIDを非表示/違反報告)
ぽしゃも。(プロフ) - シナチク@さん» 私の方こそお返事が遅れてしまい、申し訳ありません！ こちらこそ描いて下さって本当にありがとうございました！ 大切にします*(^o^)* (2017年1月8日 9時) (レス) id: 7443ae1f4f (このIDを非表示/違反報告)
シナチク@(プロフ) - 遅くなってすみません！イラスト載せて頂きありがとうございました！m(_ _)mドンっとイラストが目に入って来たのでビックリしました(笑)本当にありがとうございます！！今後とも仲良くしていただけると嬉しいです(´ω｀) (2017年1月5日 22時) (レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
ぽしゃも。(プロフ) - 物部さん» 初めまして(^^) コメントありがとうございます。 久しぶりにコメントが来たのでとても嬉しいです。 お期待に添えるように精進していきたいと思います！！ (2016年12月29日 1時) (レス) id: 7443ae1f4f (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - 初めまして。面白いです！続き期待しています(^○^) (2016年12月28日 23時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ししゃも。 | 作成日時：2016年12月8日 22時
