No.84 : お話しようよ ページ37
*
このまま行かないで欲しくて無我夢中で叫んだ声は、モモちゃんの足を止めた。
でも、私の口は止まらない。
「学級委員長を決める投票の時、皆が立候補する中で黒板の右下に私の名前も書いてあった！ でもね、私は自分になんて投票してないっ！ だってモモちゃんにいれたんだもん！！」
あの時、黒板にはほぼ全員の名前が書いてあった。
皆それぞれ自分に投票したから。
ただ、もちろん全員の名前が書いてあるわけじゃなくて、中には他に入れた子もいた。
実際に飯田くんと麗日さんは、緑谷くんに投票したと言っていた。
同じく私も自分には入れず、一番ふさわしいって思ったモモちゃんの名前を書いたのだから。
「モモちゃんはあの時自分に投票したんじゃなくて、本当は私に投票してくれてたんでしょ！？」
「教えてよモモちゃん！！」って叫んでもモモちゃんは何も言ってくれなかった。
話す以前に私を見てもくれない。
けど、そんなモモちゃんの背中が微かに震えているのに気がついて不意に涙が零れた。
今、モモちゃんはどんな表情をしてるんだろう。
周りの音も声も、私の小さな耳が拒絶した。
今は、作られた静寂だけが流れている。
お願いモモちゃん。
何か言ってよ。
──お話しようよ。
今まで私が名前を呼んで反応しなかった事なんてなかった癖に。
『あら晴陽！ どうかしましたか？』
『どうしたの晴陽！？ またいじめられたのね！！』
『晴陽！』
『晴陽』
『晴陽』
私が呼べば、いつも反応してくれた癖に。
今のモモちゃんは嘘のように“無”だった。
──どうしてモモちゃんは私に投票してくれたの
ただ答えが知りたいだけなのに。
……あ！ そっか！
「私、気にしてないよ！！ “ヒーローになれない”なんて言われたこと、弱いって言われたこと！！」
言われて当然だもん！
だから怒ってないよ！
気にしてないから、お願いだから……！！
「私を１人にしないでよ！！！」
刹那。切り裂くような胸の痛みに襲われた。
既に試合は終わった筈なのに、私の頭上では黒い雲が浮かんだ。
私の心が泣いている。
ポツポツと雨が降り、雑に切れた髪を揺らす風にのって、モモちゃんの声がやっと聞こえたような気がした。
「…………何のことでしょう」
「覚えのない話ですわ」
モモちゃんは行ってしまった。
「待って！ 行かないで！！ モモちゃん！！！」
私は、１人になった。
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ネム(プロフ) - 50話の先制布告が先生布告になってますよ！ 頑張ってください！ (2018年1月26日 3時) (
レス) id: 26189ae388 (このIDを非表示/違反報告)
ぽしゃも。(プロフ) - シナチク@さん» 私の方こそお返事が遅れてしまい、申し訳ありません！ こちらこそ描いて下さって本当にありがとうございました！ 大切にします*(^o^)* (2017年1月8日 9時) (レス) id: 7443ae1f4f (このIDを非表示/違反報告)
シナチク@(プロフ) - 遅くなってすみません！イラスト載せて頂きありがとうございました！m(_ _)mドンっとイラストが目に入って来たのでビックリしました(笑)本当にありがとうございます！！今後とも仲良くしていただけると嬉しいです(´ω｀) (2017年1月5日 22時) (レス) id: 01ec13c248 (このIDを非表示/違反報告)
ぽしゃも。(プロフ) - 物部さん» 初めまして(^^) コメントありがとうございます。 久しぶりにコメントが来たのでとても嬉しいです。 お期待に添えるように精進していきたいと思います！！ (2016年12月29日 1時) (レス) id: 7443ae1f4f (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - 初めまして。面白いです！続き期待しています(^○^) (2016年12月28日 23時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ししゃも。 | 作成日時：2016年12月8日 22時
