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卒業後、誰もAが消えた先を知らない。パーシーはパーシーで、魔法省での仕事に追われ、Aのことを考える暇はなかった。彼女はもうどこか外国でひとりで住んでいるらしく、どうやら通訳の仕事をしているらしかった。どれも風の噂で、確証はどこにもない。ただパーシーが思ったのは、彼女は上手くやれていないだろうな、ということだった。仕事で失敗してへらへら笑ってやり過ごそうとしているAが脳裏に浮かんでは消えたが、何故か分からないが、どれも彼女の幼少時代の姿だった。綺麗な瞳はまだ青空の下、まぶしそうに細められていて、髪は整えられて、俯くことはなかった。そんな彼女の姿。
気付けば世界は様変わりしていて、当たり前だが、Aの姿はもうあの頃の幼い少女ではなかった。パーシーが彼女を何年ぶりかに見かけたのは「ホグワーツの戦い」だった。もしかしたら見間違えだったかもしれない、とその一瞬は思ったが、辺りに狂ったように死の呪文を放ち続けるデスイーターに背後から近付き、近くにあった瓦礫で頭を殴る──そんな薄い影を利用した戦法は、彼女くらいしか出来ないだろう。「……どうして、Aが」そんな声が漏れる。戦いの喧騒の中にそれは吸い込まれて消えていった。戦火の中振り乱された髪から僅かに覗くヘーゼルの瞳には、グリフィンドールの魂が燃え盛っていた。
＿＿
「……A」
朽ち果てた階段の中ほどに座り込んだAの姿を見つけ、僕は思わず駆け寄ってしまった。煤けた空気も、わんわんと鼓膜に響く喧騒も現実的なのに、未だにここは非現実なんじゃないかという気がしてくる。だから何も躊躇わずにAに声をかけてしまったのかもしれない。もしかしたら、弟の──フレッドの死の哀しみを癒せるかもしれないと思ったからかもしれない。
「──パース」彼女の声は少し掠れていた。「おでこ、ちょっと汚れてる」
彼女はあの時みたいな笑い方をしない、寂しそうに笑う。でも今の僕にはその笑い方が必要な気がした。隣に腰かけて、少し俯く。フレッドの亡骸の体温が、まだ指の表面に残っている。
「パース、大丈夫？」
Aが自然に手を伸ばし、僕の手を取った。とても自然で、空気の動きなんて無視したような流れだった。どこでそんなのを身につけたんだろう。冷たい温度と人肌の温度が交ざりあって、少し落ち着く。
「……そういえば、君は昔、『大丈夫』が口癖だった」
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狸ノ木(プロフ) - そると。さん» コメントありがとうございます！ 私も結構気に入っている話なのでそう言っていただきとっても嬉しいです……！ たぶんころっと落ちちゃいますね☺️(そんな機会があればですが！) (2022年4月5日 17時) (
レス) @page37 id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
そると。(プロフ) - 最後のジニーのお話...めっちゃ好きです...あんな言われたら落ちるしかなくない...？？？ (2022年4月5日 1時) (レス) @page36 id: 49e4342c2d (このIDを非表示/違反報告)
狸ノ木(プロフ) - 弁当にトマト入れないでさん» コメントありがとうございます〜！！こんなに素敵な言葉を頂いてもいいんでしょうか……すごく励みになります😭してみたされてみた、また書きたいので出すと思います！ 楽しみにしてて下さい💞 (2022年2月15日 7時) (レス) id: 7569f5552e (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマト入れないで - してみたされてみたまた出して欲しいです！無理だったらすいません!!お話作るの天才すぎ!!めっちゃいいお話だらけ! (2022年2月14日 22時) (レス) id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
弁当にトマトを入れないで - 私もパーシーと、オリバー大好きだから主さんのお話大好きです！ (2022年2月14日 22時) (レス) @page16 id: 2bfe3fce26 (このIDを非表示/違反報告)
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