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服を決め、着替えようとしたときにインターホンが鳴った。画面に死ぬほど眠そうな樹とやたらハイになっている慎太郎が映っているのを確認して、玄関を開けた。
「おっはよーーん！北斗準備できたぁ？」
「慎太郎声でかい……。まじで頭に響く……。」
「お前ら対照的すぎない？……樹ちゃんと寝たか？」
「寝た寝た。」
「まじでさ！6人で集まるの久々な感じするから超楽しみにしてきた！」
「そうだな。ちょっと待ってて。」
急いで着替え、昨日のうちに準備しておいた荷物をひっつかんだ。二人のもとに向かうと樹はようやく目が覚めたような顔をしていた。
「今日Aちゃんいないんでしょ？残念じゃね？せっかくなのにさ。」
「Aは実家に帰ってる。確かに退院してから帰ってなかったし、家族水入らずで楽しんでると思うよ。」
「そっかぁ。それも大事だもんなぁ。樹がさ、だいぶ動けるようになったって言ってたし、ワンチャン車椅子なくても俺らがおぶってあげればいけそうだなーって思ったのにな。」
「いや、誰がお前らに触らせるかよ。」
「うはは！北斗おもれー！」
階段を下りながら慎太郎は笑った。後ろにいるのに声が大きいと感じたから、慎太郎の前にいる樹はもっと大きく感じていると思う。そして、朝の8時にこんな大声、近所迷惑で怒られるんじゃないかとヒヤヒヤする。朝から元気なのは結構だけど気をつけて欲しい。
車に乗り込むと、もう全員揃っていた。運転席には高地、その隣にはジェシー。2列目に樹と慎太郎が並んでいる。最後列に京本。席を替えてくれと頼むほど気まずいというわけでもないので、諦めて京本の隣に座った。
車が動き出してしばらくは雑談をしていたが、慎太郎が唐突に叫び謎のゲームが始まった。自分の番が来たからノリノリで答えたら微妙な空気が漂った。ちくしょう、と思いながら笑っていると、隣からシャッター音が聞こえる。音のする方を向くと、京本が俺にスマートフォンを向けていた。
「……なによ。」
「Aちゃんが北斗の写真送ってほしいって言ってたって樹から聞いた。」
「え、俺の写真撮ってたの？」
「うん。折角隣に座ったしなーって思って。」
「あ、そうなの。」
京本が俺たちのことを気にかけているとは思わなかったので不思議な気持ちになった。こいつなりの歩み寄り方なのだろうか。京本は変わってるけど、優しいやつであることに間違いはないと思った。
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作者名：睡蓮 | 作成日時：2023年5月30日 1時
