もし、 (ページ4)

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その日は特に意味のないような入学式を終えた。

「じゃ、僕たちはこれで。またね。」

そういって「またね。」と返す時間も与えず去っていくジェノとハユンちゃん

「ね、ジェミナ、私たちも帰ろっか」

「…Aはさ、それ、悔しくないの？苦しくないの？」

「今じゃなきゃダメなの？それ、」

「、そうだよね、ごめん。帰ろっか」

ほんとはつらいよ、助けてほしい。他の人を好きになれたらって思う。誰でもいいから抱きしめてほしい。どこからか流れてくる涙をすくってくれる人が欲しい。
でも、こんなこと誰にも言えない。

だから、まだ、優しく手を差しのべてくれるジェミンと手を繋いで帰るの。固くは繋がれてないけれど。

「ごめんね、ジェミン。」

「Aがはなしたくなったらはなせばいいんだよ」

本当の意味は伝わったのかは分からない。
もう少しだけ、その甘さに浸らせてほしいな、
ほんとに、すこしだけ。

きっと、この瞬間があいつとの、
ヘチャンとの
日常の始まりだったのだと思う。