私の口は喋らなくていい事を喋るのが上手らしい*5部【名探偵コナン/トリップ】

185話 ページ10

「え？」

「…クレーン車に残されていたのは携帯だけ、中には誰もいなかったんだよ」

抜け出せていたならいいんだけど、と付け足した彼の肩から手を離す
口からは そうだね、と息のように薄い声が出た

ふらりと腰を上げると頭が白いまま探さなければという意志だけが働く

「…探さないと」

「僕も探すよ！」
 
「ありがとう、でも君は帰った方がいい、蘭さん達が心配する」

「でも…！」

「俺がそうしたいんだ、じゃあ」

何処にいるかも分からないがとりあえず向いていた方向へ走る

後ろからは呼ぶ声がしたが止まる気にはなれなかった

もうここにいない、そんな気がする心中を抑える

彼女はきっとどこかにいる
そう思わないと気がどうにかなってしまいそうだ

















「…ボウヤ」

「！…赤井さん！いたんだ…」

陰から出てきたのはライフルを背負った赤井秀一

タバコをふかし神妙な面持ちをしながらコナンに目を向けた

「…つい立ち聞きしてしまってな
君の代わりにAは俺が探そう、だから心配するな」

「……ありがとう」

後ろ髪を引かれる思いも抱えながらもコナンは背を向け蘭たちの元へ向かう

残された赤井はタバコを地面に落とし踏み消し安室が向かった方向へ目を向けた

「A…お前は最初からずっと掻き乱してくれるな…」

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