29話 真実 ページ30
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Aが家を出ておよそ3年。
あれから私は毎日欠かさず、お母さんが入院している病院を訪れている。
今日もお花を持ち、お母さんの病室へ向かう。
ｺﾝｺﾝ ｶﾞﾗｯ
｢おはよう、お母さん。調子はどう？｣
｢おはよう、冬美。最近は調子がいいみたい。｣
いつもありがとうね、とお母さんは儚く笑う。
｢そっか、それならよかった〜。｣
そこで会話が止まり沈黙が続く。
お母さんは窓を眺めながら寂しそうに話す。
｢ねぇ、冬美。あの子たちは……焦凍とAは……元気にしているかしら。｣
｢夏くんはたまに来てくれるけど、二人はまだ一度も…………。｣
核心を突かれた質問に戸惑う。
今の二人について教えてしまったら、
せっかく昔の優しいお母さんに戻りつつあるの
に、また逆戻りしてしまうかもしれない。
そう思うと不安でしかなかった。
その様子を見た冷は口を開く。
｢本当は私が悪いの。｣
｢…………え？｣
冷は冬美の瞳をしっかりとした眼差しで見る。
｢私は毎日あの人に頭を抱えてた。｣
｢大切な子どもたちをただのモノとしか見ていなかったあの人に。｣
｢あの虐待的なスパルタ教育にどんどん衰弱していく焦凍を見て、平然としていられなかった。｣
冷は、ぽつり、ぽつりと話し始める。
｢いつしか脅かされる存在だったあの人に、｣
｢私は何もかも囚われてしまった。｣
心が限界だったの、そう呟くとお母さんは俯いた。
｢焦凍の左側も、Aの目の色も私を苦しめた。｣
｢だから、私はあの子たちに煮え湯を浴びせてしまった……。｣
｢何の……罪も無いのに……ｯｯ……!!｣
｢Aに至っては、首を締めて殺そうとした……!!｣
悲痛な声が病室に響き渡る。
｢私は母親失格なのよ……。｣
｢一生取り返しがつかないことをあの子たちにしてしまったの…………!!｣
冷はベットのシーツを濡らすと顔を上げた。
突然の真実に冬美は呆然とする。
｢…………そう…だったんだ。｣
｢……でも、二人はお母さんのこと恨んでいないよ。｣
｢今でもお母さんの帰りを待ってる。｣
と、伝えると冬美は冷に歩み寄り、何かを決心したような目をする。
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わんわん(プロフ) - イェーイさん» 返信遅くなりました申し訳ないです！久方ぶりに手をつけてみて今夜中に5話を編集して公開します。 (8月10日 13時) (
レス) id: 0844f591dc (このIDを非表示/違反報告)
イェーイ(プロフ) - 続きお待ちしております😭😭 (8月10日 2時) (レス) id: d32b35d539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わんわん | 作成日時：2020年4月4日 6時
