陸拾弐話 ページ17
そろそろ、胡蝶カナエと上弦の弐・童磨との戦闘が起きる。
そんな中、運悪くAの元に新たな任務が下された。
いくら彼女の為に任務を早く終わらそうとも、Aには他の柱とは比べ物にはならないほどの仕事がある。その任務の殆どが厄介な内容で、他の柱との合同任務を数多くある。
そんなAを慕う鬼殺隊士は数多くおり、屋敷の訓練所を常時解放してからは、彼女の隙を見ては稽古を申し込む隊士で賑わう。
屋敷に住む響には心配の目線を良く貰うが、それでも任務と稽古を両立させるのが鷹風Aという人物だ。他の者が口を挟む道理はない。
そんなAの次の新たなる任務は、水柱が片翼・冨岡義勇との合同任務。宙曰く、『東京府の都市部にて、鬼殺隊士が消えている』との事。相変わらず、他の鎹鴉よりも律儀な性格をしている。
待ち合わせ場所に佇むAは、ぽけぇと悠久に広がる紺碧の空を眺め続ける。
カナエちゃんと童磨が戦うのはいつなんだろう、宙に見張って貰う様に頼めば幾分かは安心出来るかも。
そんな事を思っていると、彼女の肩に誰かの手が触れる。
Aは驚きに目を見開かせると、くるりと振り返る。
『やぁ、義勇………お疲れ様』
「……………Aこそ。それよりもどうた、浮かない顔をして」
『ちょっと、心配事があってね』
にっこりと優しく微笑むと、義勇は一瞬きょとんとしたが、しばらくするとコクンと頷く。そして、少し眉をひそめて口を開く。
「今回の任務だが、少し違和感がある」
『義勇もか………』
義勇の言葉にAも頷く。
今回の任務、不思議な事に行方不明となった鬼殺隊士の痕跡が無い。本来ならば、ほんの少しでも血痕が残るはずなのに、だ。
『今回の任務は他とは違う、慎重に行くよ』
「…………あぁ、分かった」
宙の首を撫でて、Aは天高く羽ばたかせた、その時。
「これはこれは、鬼狩り様達ではないですか?」
『……………貴方は?』
背後から声をかけられ、Aと義勇は振り返る。
その人物は、優しそうな口調で語りかける。
「私は昔、鬼殺隊の方に助けて貰った者です。いやはや、まさかもう一度お目にかかれるなんて」
初老の男性だ。入念に手入れがされた顎髭と、整髪料で整えられた豊かな髪が印象的である。その身に纏うのは高級感のあるスーツと洒落たコートを羽織っている。明らかな、上流階級の者だ。
そんな男性に、Aは微かに眉をひそめた。
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尊い - 続きが速く見たいです (2022年3月26日 23時) (レス) @page11 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 続きが気になるぅぅぅぅうぅぅう!!!!更新楽しみにしてます! (2022年3月18日 8時) (レス) @page11 id: 04c952a5b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わんフル | 作成日時:2022年2月22日 8時