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陸拾話 ページ14

賑やかな喧騒が響く町中を、私としのぶちゃんで散策する。


日が落ち始めた時刻だ。目的地に急がないと。


「それにしても、以外にもAは男装が似合いますね」


『そ、そうかな……』


微かに頬を赤らめるAに、しのぶちゃんはクスッと微笑む。


元々高身長で顔立ちの良いAは、派手柱こと宇隨天元によって、絶世の美少年となっていた。


優しく微笑めば、年端のいかない乙女達を一瞬で一目惚れさせるだろう。


『しのぶも可愛らしいよ?』


「わ、私よりも姉さんの方が良かったんじゃないの?」


『カナエも可愛らしいけど……』


「…………そうですか(こういう所でハッキリ言わないのね)」


すんっと顔を背けて、足早に移動する。


『ほら、しのぶ………そろそろ目的の宿だよ? こういう所では礼儀でしょ』


はいっと手を差し伸べるA。


男女の場ならば、エスコートというのが当たり前だ。


「きちんとしてくださいね」


そう言いながら、私達は鬼が出ると噂の宿へと足を踏み入れる。


ー◇ー◇ー◇ー◇ー◇ー◇ー


『あぁ…………しのぶ?』


「……なんですか」



私達が泊まる噂の部屋には、既に敷布団が敷かされており、淡い照明が照らしていた。


その布団に、私は組み敷かれていた。


いやまて、どういう事だ。
なぜ私はしのぶちゃんに組み敷かれている?
何か怒らせる事をしたのだろうか……!?


『私、何かしたでしょうか』


「知らないわ」


『………………ソデスカ』


諦めたように、ぐでっと力を抜く。


「……鬼は男女が行為をしている時に出ると聞きました」


『っ…………………!?』


思わず耳を疑うような台詞に、私は口をパクパクと動かした。


「私達は同性です………しかし、それに近い事は出来ますよね」


『しのぶはどこでソレを知ったの』


「私は医学を嗜んでいますから」


いや、そんな合コンとかで「ご趣味は?」「お筝とお茶を少々」という感じに言われましても!?


『し、しのぶ!? 落ち着いて!』


「私は落ち着いてるわ。慌てているのはAの方よ」


『ご、ごもっとで!』


まてくれ、しのぶちゃんってこんなに積極的でしたっけ?


……………いや、以外にSっ気あるな。


しのぶちゃんが、私の服に手をかけようとした時――――


『っ!』


「タイミング悪いですね」


ふと、部屋に漂う鬼の気配に私達は動きを止める。

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尊い - 続きが速く見たいです (2022年3月26日 23時) (レス) @page11 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 続きが気になるぅぅぅぅうぅぅう!!!!更新楽しみにしてます! (2022年3月18日 8時) (レス) @page11 id: 04c952a5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わんフル | 作成日時:2022年2月22日 8時

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