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どた、と何かが落ちる音がした。
なにが落ちた？なんだか腰が痛い。
目を開けると、天井ではなく床が、1番最初に目に入った。
あぁ、なんだ。
私が落ちたのか…
パタパタと、少し急ぎめに階段を上る音が聞こえる。
「すごい落としだけど、大丈夫？」
ノックをし、部屋の中に聞こえるように大きな声で話す兄。
「いてて、大丈夫だよ」
私もさらに答えら体を起こす。
まだ完全ではないが、ステインとの戦いの傷は大方治ってきた。
ささ、と制服に身を包み、鞄を持って部屋を出る。
ダイニングには朝ごはんのパンと目玉焼き、牛乳。
机の上には相変わらず2人分しか食事が出されていない。
…今日も父親は帰ってこないのか。
それほど食欲のないお腹に朝ごはんを流し込み
少し急ぎ足で家を出る。
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教室に入ると、いつものA組のはしゃぐ声が聞こえた。
みんなそれぞれ、職業体験での経験を話しているようだった。
今日は日直だから、と早く出たものの、もうほとんどの生徒が教室にいた。
そんな中先に座り、すこしぼーっとする。
このA組のザワザワ感が、私は好きだ。
「おはようAちゃん」
「！おはよう梅雨ちゃん。響香ちゃんも！」
「おはよ。なんかぼーっとしてたけど、大丈夫？」
大丈夫だよ、と手を振る。
ただこのクラスの雰囲気に酔っていたなんて言えない。
「A」
聞き慣れたから聞き慣れない言葉を聞き取って、一瞬困惑する。
前方から聞こえたその声の方へ向くと
轟くんの席の周りに男子が集まっていた。
そこの中心である轟くんが、私を手招いている。
「ごめんね」と女子に一言言って、手招かれるままに轟くんの方へ行った。
「…轟くん、いつの間に名前で呼ぶようになったの？」
「いや、Aの名字、呼びにくくて」
「なぁんか失礼だね…？で、なに？」
呼んだからには何かあるんだろう。
そう思って男子の輪の中に入る。
「いや、1番大変だったのはこの4人だよなって話になってさ！」
おそらく話の根源であろう上鳴くんがそう言った。
「…まぁ、エンデヴァーが助けてくれたおかげで頭から強打しただけで済んだんだけどね」
「頭に包帯ぐるぐるまき野郎に言われても説得力ねぇな〜…」
誰が野郎だよ…
最近、クラスの男子の私への扱い方すごく雑になってきてない？
それより、今日のヒーロー基礎学。
久々の訓練だから正直すごく楽しみ…だけ頭の怪我に気をつけないと！
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作者名：豆腐 | 作成日時：2021年12月2日 14時
