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頭から血がだらだらと流れ続ける。
それを見た３人は目を丸くした。
「なにしてんだお前！」
「さ、すがに痛いけど…でも、これで」
額の傷から夥しい数の蝶が出てくる。
それはいつもと比にならない量だった。
その蝶は私やデクくん、飯田くん、他のヒーローたちを守るように
ドーム状のバリアを作り出した。
「なんだ、これ…」
「私の最終手段…私が、危険な状態になったら守れるよう特訓したの…」
意識が朦朧とする中、視界の端でデクくんが動き出すのを見た。
申し訳なさそうな顔をするデクくんに
「…中から外には出られるよ。
一度出たらこの中には戻ってこられないけど…」
私が弱々しくつぶやくと、外へ出ていった。
はぁ、と息をつくと
「やめてくれ」と未だ後ろで弱々しくしてる飯田くん。
もう少しできっと動けるようになるはず。
「飯田くんはなにになりたい？」
私はそう呟いた。
「…飯田くん、私にいったよね。
冷静で、判断力があって、指揮能力に長けてるって。
私さ、別にそんなんじゃないよ。
ただ必死になってるだけ…お母さんの背中を追うのに精一杯で、周りの事なんて考えてらんない。
全部、ぜーんぶ、私自身のため…自己中でしかないのよ」
飯田くんは、兄になりたいの？
それとも、インゲニウムになりたいの？
飯田くんにそう問う。
「飯田くんが目指しているものはなに？
お兄さんなの？だったら飯田くん、一生なれないよ」
だって、なりたいものが見えてないもの。
むぁ、人に会えた事じゃないけどさ。
「なりてぇもんちゃんと見ろ」
バリアの外から、そう叫ぶ声が聞こえた。
どうやら、轟くんにも話が聞こえていたようだ。
あ、やばい…
ふら、と意図せず頭を地面に打った。
これはもう限界かも。
バリアになっていた蝶は、枯れたかのようにパラパラと落ちていく。
意識が落ちる直前、飯田くんがバリアを抜け出していくのが見えた。
その顔は、少し前よりももっとヒーローらしく、飯田らしい。
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作者名：豆腐 | 作成日時：2021年11月25日 19時
