【ヒロアカ】首を掻っ切れ (ページ36)

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ステイン、通称ヒーロー殺し。
個性は凝血…

「轟くん、蝶首さん、そいつに血ィ見せちゃダメだ！」

わたしがこくん、と頷くと
「なんで、君たちが」
と飯田くんがつぶやく。

「そもそもここ、わたしも活動範囲内だし！」
「それは…」
「メールが送られて来た時、一瞬意味が理解できなかったよ。
　でもデクくんが、意味もなくこんな悪戯みたいなことするわけないって思った」

何かのSOSなんだと、理解することができた。

「大丈夫だ。後数分もすれば他のヒーローたちも現着する。
　こいつらは殺させねぇぞ、ヒーロー殺し」

轟くんが個性を行使して倒れていたヒーローたちも一堂に集めてくれる。
振り返って

「蝶首はそこから動くな。そいつら守っといてくれ」
「…わかった」

いつもならわたしも戦うところだが、今日限りは…轟くんの指示に従うしかなかった。

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轟くんが戦っている間、わたしは生成した蝶を飛ばし、
付近の状況や他のヒーローの現在地を確認していた。

「なぜ、君たちなぜだ、やめてくれ…
　兄さんの名を継いだんだ。僕がやらなきゃ、そいつは、僕が…」

後ろから弱々しく聞こえてくる飯田くんの声。
数ヶ月一緒にいた間、こんな飯田くんは見たことがなかった。

親族の名を継ぐ気持ち、わたしにも痛いほどわかる。
名を継いだからこその責任感、プレッシャー。

「おかしいな、昔私を助けてくれたインゲニウムは…そんな顔しなかったよ」

かつて事故から救ってくれたインゲニウム。飯田くんの兄。
穏やかに笑って、安心させてくれたその姿を私は鮮明に覚えている。

そう話していると突如後ろから何かが飛んできた。
ざ、と何かがかすれる音がしたあと、少し顔が痛む。

これは…

がくん、と腰が抜けるように力が入らなくなった。
まさか

「誰がお前だけを狙っているといった？」

ステインは轟くんだけを狙っているわけではなかった。
みんなを守っている私も同時に狙っていた。

私が動けなくなることによって、この人たちを守る人がいなくなる。

「くそ…、」

こうなれば、最終手段…っ！
わたしは動かない体で、頭だけを宙に浮かせ…

ガンッ

鈍い音を立てて、頭を地面に打ち付けた。